2009年12月3日、グーグルは日本語入力ソフト「Google日本語入力」のベータ版を公開した。大量のWebデータを武器に開発したというグーグルならではの日本語入力ソフトは、最新の流行語もスムーズに変換できる半面、誤った日本語が表示されることがあるなど、評価には賛否両論がある。

 WindowsやOfficeに付属するマイクロソフトの「IME」が事実上の標準となっているこの分野に、なぜグーグルは参入するのか。Google日本語入力は日本語入力ソフト界の“黒船”となるのか。開発の意図や特徴について、同社で開発に携わっているソフトウエア エンジニアの小松弘幸氏と工藤拓氏、シニアエンジニアリング マネージャーの及川卓也氏に話を聞いた。

■Google日本語入力の開発を始めた理由は?

小松氏:正直に言うと、作りたかったからです(笑)。そもそもの始まりは、私と工藤の「20%プロジェクト」でした。これはグーグルの社内ルールで、勤務時間の20%を自分の好きなことに使ってよいという仕組みです。私は学生時代、ユーザーインタフェースの研究をしていまして、特に日本語入力のユーザーインタフェースを改善したいと思っていました。

 例えば、予測入力をどのようにうまく活用するのか、といったことを研究していました。その延長線上でIMEを作ったりもしていました。そして、グーグルだったらもっと良いIMEを作れるのではないかと考え、工藤と話し始めました。

工藤氏:このプロジェクトを始める前は、日本語のWeb検索結果におけるランキングを改善する仕事や、「もしかして」というスペルミスを修正する機能の開発などをしていました。グーグルに入社する前は、コンピューターによる自然言語処理を主に研究していました。統計的自然言語処理を使えば、IMEのようなものが作れることは研究レベルで分かっていたので、大量のWebデータなど、この会社のリソースを使えば実現できるだろうと確信していました。

 ただ、最初のころは全くコードを書かずに、ディスカッションばかりしていました。半年くらいの間は、週に1回集まっては議論するだけの日々が続きました。

同社ソフトウエア エンジニアの小松弘幸氏。オープンソースの日本語入力ソフトを開発した経験があり、日本語入力ソフトの開発を希望して同社に入社したという
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