スペインのバルセロナで2010年2月15日に開幕する、世界最大級の携帯電話に関する展示会「Mobile World Congress 2010」(以下、MWC)。開催に先立ち、主要な出展予定メーカーの日本法人を取材した。

 米アドビシステムズは、「PHOTOSHOP」「ILLUSTRATOR」といったグラフィックス関連のソフトメーカーとして知られる。Webページ上でアニメーションを表示する「FLASH」の開発元でもあり、携帯電話やスマートフォンへの移植も積極的に取り組む。日本のアドビシステムズのDMOテクニカルエバンジェリストである太田禎一氏に、携帯電話市場におけるFLASHプラットフォームの現状について話を聞いた。

■携帯電話機では、FLASHはどの程度普及しているのか。

 インターネットにつながった全世界のパソコンの、実に99%にFLASH PLAYERがインストールされている。同様に携帯電話にも、FLASH PLAYERのサブセット版である「FLASH LITE」が多くの製品に搭載されている。例えば、あまり知られていないが、NTTドコモの「iモード」のトップ画面も実はFLASH LITEで作られている。お使いの携帯電話期が実はFLASHコンテンツを再生可能で、知らず知らず毎日ごらんになっていただいている方は意外に多いのではないだろうか。

■スマートフォンへの採用は進んでいるのか。

 話はさかのぼるが、2008年に携帯電話関連メーカーと共同で「Open Screen Project」と呼ぶプロジェクトを立ち上げた。スマートフォンや小型情報端末、家電など、非パソコンの画面上でも、同じFLASHコンテンツを支障なく再生できる環境を整えることを目的としている。現在40社以上が参加している。

 従来であればスマートフォンにはFLASH LITEを採用するようメーカーに働きかけるところだが、弊社はその方針をプロジェクトの立ち上げともに改めた。また、FLASH LITEと違って、プロジェクトに参加してFLASHを搭載した製品を開発するメーカーに対し、弊社はライセンス料を要求しないことも取り決めた。Open Screenの活動により、FLASHに対応したスマートフォンが続々登場するはずだ。

■なぜ、FLASH LITEではなくFLASHなのか。

 Open Screen Projectが誕生した背景として、FLASH LITEでは携帯電話機によって採用するバージョンがまちまちになってしまった反省がある。FLASH PLAYER 4に相当するFLASH LITE 1、FLASH PLAYER 7に相当するFLASH LITE 2、FLASH PLAYER 8に相当するFLASH LITE 3が混在してしまった。おかげで、コンテンツを制作する方々に、下位互換性を確保することに頭を悩ませてしまう結果を招いてしまった。普及率も高いFLASH LITE 1に合わせるケースが多いことも問題だった。

 そこでこのプロジェクトでは、開発時に守るべき取り決めも定めた。FLASHを採用したスマートフォンでは、携帯電話網経由で最新バージョンにアップデートできる機能を必ず盛り込むことを義務づけている。

 最新バージョンの「FLASH PLAYER 10.1」は、スマートフォンや小型情報端末での省電力性などを考慮し、一からソースコードを見直して開発してある。パソコン向けのFLASHコンテンツが、スマートフォンや小型情報端末でも同じように再生できる点は、FLASH LITEにはない大きな魅力だろう。

■結果として、FLASH LITEのビジネスは縮小するのか。

 そんなことはない。機能が少ない一般的な携帯電話機では、引き続きFLASH LITEのニーズは高いだろう。また、今後はテレビなど、家電に組み込むケースが増えると期待している。現在家電メーカーなどに対して積極的に働きかけており、新しいジャンルの製品にFLASH LITEが搭載されるかもしれない。

■変更履歴
記事公開当初、FLASH PLAYERのサブセット版を「FLASH LIGHT」と表記していましたが、正しくは「FLASH LITE」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2010/2/16 16:50]