東京・秋葉原で開催中の「第1回 Japan Linux Symposium(JLS)」および「第9回 Linux Kernel Summit」に合わせ、Linuxの創始者であるリーナス・トーバルズ氏が来日した。オープソースOSのLinuxは今後どう進化し、我々の生活にかかわってくるのか。記者会見で質疑応答に応じたトーバルズ氏の要旨は以下の通り。

■明日10月22日には、マイクロソフトの新OS「Windows 7」の一般販売が始まる。2010年には、米Googleが「Chrome OS」の提供を予定している。これら2つのOSについて、どう見ているのか。

 私は、Linuxと他のOSを細かく比較したりしません。Windows 7が明日発売だということも知りませんでした。私が常に気にしているのは、前バージョンのLinuxと比べ、次のバージョンのLinuxがどう進化するかです。

 Chrome OSは、ベースにLinuxカーネルを採用しています。オープンで汎用性の高いLinuxだからこそ、そうした活用法が可能です。

■世界的な景気の悪化で開発費の抑制が叫ばれる中、Linuxカーネルのように多くの技術者が無償で協力する開発モデルの有用性をどうとらえているか。

 ゴールが明確に定まっている成果物の場合、Linuxカーネルのような開発モデルは適していません。何百万のユーザーで1つのゴールを目指すのは効率が悪すぎます。Linuxは、より良い方向を常に探りながら開発しています。そうした手探りでの開発には、多くのユーザーの視点と協力が不可欠なのです。

■Linuxは今後、どのような分野でより利用が進むのか

 例えば、携帯電話に内蔵されているCPUやメモリーは、ここ数年で飛躍的に性能が向上しました。パソコンの処理性能と比較してもひけを取りません。Linuxは以前から組み込み機器で利用されてきましたが、組み込み系チップの性能が向上したことで、より活躍の場が広がると考えています。

■トーバルズ氏自身の思いと開発コミュニティが目指す方向との間でズレは生じないのか

 私が当初、Linuxで実現したかったことは、とうの昔に達成しています。その後は、色々な人のニーズに応えていくことが私のモチベーションになっています。

■技術に詳しくない一般ユーザーは、Linuxを敬遠しがち。どうすれば受け入れられるか。

 私はコンピュータが大好きで、複雑なものに取り組むのが好きなので、そうした人の悩みはわかりません(笑)。ただ、1つ言えるのは、Linuxは単機能のハード/ソフトを制御するのに適しています。Webサイトの閲覧に特化したGoogleのChrome OSもその1つです。デジカメなどの制御にもLinuxが使われています。それらハードやソフトを使っているユーザーは、(バックグラウンドで動いている)Linuxを敬遠しないでしょう。