インテルのAtomプロセッサーを搭載する低価格パソコンNetbook。日本では、台湾ASUSTeK Computerの「Eee PC」や台湾Acerの「Aspire One」が売れている。

 「実は、うちの方がASUSよりも先にNetbookを出した」と言うのが、台湾MICRO-STAR INTERNATIONAL(以下MSI)のヴィンセント・ライ氏(Vincent Lai、Assistant Vice President Marketing Department)。先ごろ来日したライ氏に、MSIのNetbook戦略を聞いた。

MSIで世界各国向けの製品マーケティングを統括するヴィンセント・ライ氏(Vincent Lai、Assistant Vice President Marketing Department)

■MSIのNetbookのスタートは他社に比べると遅かったようだが

 実際には、それほど遅くない。今年6月のComputexで液晶が10インチのWind Netbookを発表している。他社は、最初7インチの製品を発表したが、当社は、最初から10インチだった。また、最初のEee PCは、Atomプロセッサーを使っていないので、Netbookではない。

 欧米など、体格の大きなユーザーがいることを考えると、7インチでは、キーボードが小さくなってしまう。MSIでは、最初からキーボードの打ちやすさと画面の見やすさを考えて10インチの液晶を採用することにした。

■日本国内では、まだ量販店で販売していないようだ

 スタート時点では、インテルからのプロセッサーの供給が少なかったため、数多くの製品を用意することができなかった。さらに、それらを日本以外にも世界各国で販売したため、実際に日本に入ってくる数は少なくなってしまった。量販店で扱ってもらうためには、大量の在庫を用意する必要があるし、1社の量販店だけというわけにもいかない。また、現在、量販店とは、マザーボードなどのパーツで取り引きしているだけ。Netbookのようなシステム製品でのつき合いがない。

 このため立ち上げ時点では、当社と直接取引のある秋葉原などのショップだけで扱ってもらうことにした。量販店での扱いは、プロセッサーの供給が潤沢になった段階で考えたい。現時点では、予約などで注文を受けたものをなんとか出荷した段階だ。

 実際、インテルの製造が間に合わない状態だと聞いている。昨年末の時点でインテルがOEM各社に調査した数量と、今年4月に調べた結果では、7倍も違いがあったという。インテルは増産を計画しているようだが、しばらくは品不足が続く見込みだ。

■他社では、通信サービスと組み合わせて安価に販売している。通信ネットワーク事業者などと交渉しているのか

 世界的に見ても、Netbookと通信サービスを組み合わせて、安価に販売する例が増えてきている。実際、台湾でも、携帯電話事業者が扱って、契約したユーザーにNetbookを無償提供している例がある。

 日本でも、こういう形のビジネスを考えたい。ただ、日本では通信事業者が直接Netbookを購入するのではなく、店頭在庫の組み合せによる販売だと聞いている。当社の製品を扱う一部の店舗でも、そのような販売を行ったことがあるようだ。

 ただ、世界的な傾向でもあり、通信事業者とは交渉していきたい。

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MSIのNetbook製品「Wind Netbook U100 Extra」を手に、販売戦略を熱く語るライ氏

■日本国内でのサポート体制はどうなっているのか

 現在、MSIブランドで販売しているマザーボードやグラフィックスボード、ベアボーンシステムのために、サポート専任スタッフを千葉県市川市の修理センターに常駐させ、サポートを行っている。Netbookも基本的には、ここを使ってサポートする。販売数量の拡大に合わせて、拡充していくことになるだろう。

■米国などでの販売状況は

 当社の製品は、Amazon.comが扱っている。ここでは、Netbook分野では、MSIの製品が一番売れていると聞いている。ただ、供給が間に合わない。

■Linuxバージョンはどうなのか

 Linuxバージョンは、アジア一部地域向けにさらに低価格を実現するためのものだ。日本などでは、Windows XPをインストールした製品のみの展開になると思う。

■Netbookというシステム製品の販売を開始したが、会社としては、今後どういう方向に進むのか

 現在のビジネスは、半分ぐらいがOEMであり、残りの大半が、リテール向けのマザーボードなどのパーツを中心にしたビジネスだ。今後は、リテール向けのパーツビジネスは徐々に厳しくなっていくだろう。というのも、チップセットやグラフィックス機能がCPU側に取り込まれていくと、マザーボードとして製品間の違いを出すことが難しくなる。また、パーツで組んでも、メーカーのセットを買っても、同等のスペックなら価格に大きな差がなくなってきた。そうなると、この市場が今後縮小していく可能性がある。

 こういった環境を考えると、Netbookで、システムのビジネスを立ち上げる必要があると感じている。

■Netbook以外の製品展開はどうか

 世界的に見ると、現在PCを購入できない層に対して、安価な製品を提供していくことでより大きなビジネスができると考えている。たとえば、NetbookよりもNetTopのほうが価格を安くできる。NetTopや一体型の製品などを検討している。

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