子供たちを対象にしたプログラミング教育が広がりを見せている。企業やNPO法人などによる子供向けのプログラミング講座が各地で開催され、多くの参加者を集めている。2013年6月に政府が発表した「日本再興戦略」でも、「義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進する」との項目が盛り込まれた。
 国内におけるプログラミング教育の第一人者が、青山学院大学・津田塾大学 非常勤講師の阿部和広氏。ビジュアルプログラミング言語「Scratch」の日本語化を担当するかたわら、NPO法人であるCANVASがグーグルの支援を受けて展開する、プログラミング学習の機会提供を目的としたプロジェクト「PEG(Programming Education Gathering)」の監修も務める。元マイコン少年だったという阿部氏に、同じくマイコンに熱中した過去を持つ山内氏が、現代に求められるプログラミング教育の形を聞く。(記事構成は編集部)

山内:阿部さんは、PEGに監修という形で参加されていますよね。まずは、PEGの概要から教えていただけますか。

阿部:私は、CANVASというNPO法人や、OtOMOという任意団体で、ずっとプログラミング教育に携わってきました。特に、東日本大震災以降は、被災地での活動を重点的に行ってきました。被災地の方から、地域の人材育成が被災地の復興につながるというご意見をいただいたことがきっかけです。活動に当たっては、プロジェクトの進め方から人材や機材の提供まで、グーグルさんからさまざまな支援を受けました。

青山学院大学・津田塾大学 非常勤講師の阿部和広氏。NPO法人CANVASのフェローも務める
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阿部:現地に行くと、子供たちはとても喜んでくれます。それに、どんどん面白い作品を作ってくれます。でも私たちが東京に戻ると、現地での活動は終わってしまいかねません。そこで、地域のプログラマーの方や教育系の団体などと連携するなど、こうした取り組みが地域に根付くように努力を重ねてきました。

 ただ、それだけでは不十分なこともあります。例えば学校のパソコン教室にソフトをインストールして帰ろうとしても、教育委員会の許可が必要だとかいろいろな事情があってなかなかうまくいきませんでした。

 それで、どうやったら継続的な学びを実現できるだろうか、といろいろ考えました。まず課題になったのが、モノ(ハードウエア)を何とかしなければいけないということです。子供たちが日常的にプログラミングをするためのモノを備えなければならない。CANVASのメンバーなどと議論する中で出てきたのが、イギリスで登場した小型のボードコンピューター「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」が使えるのではないか、というアイデアです。

英ラズベリーパイ財団が販売する、名刺サイズの格安コンピューター「Raspberry Pi」
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