佐賀県武雄市では、来年度から市立小学校の児童全員にタブレット端末を無償配布する。中学校の全生徒には27年度からの配布になる。

 タブレットの配布は他の自治体でも実施し始めているが、ここで注目したいのが、武雄市独自の「反転授業」だ。

 ほとんどの人が持っている学習のイメージは、学校で新しいことを学び、家庭で復習をする、というものだろう。反転授業ではこれが逆転する。新しいことを学ぶのは家庭で、学校では家庭学習で分からなかったことや発展的な問題の解決に取り組むのだ。既にアメリカの一部の教育機関では反転授業が行われているという。

 武雄市の反転授業で重要なツールとなるのがタブレット端末だ。タブレット端末に家庭学習用の教材をインストールして、一人でも学習できるように工夫する。子どもの学習履歴は記録されるので、教師は子どもの進度を確認して一人ひとりの子どもに合わせた指導をすることができる。

課題が多い反転授業

 反転授業は日本ではまだほとんど実施されていないため、分からないことや次のように課題も多い。

(1)やる気にさせる教材の開発

 今年度の文部科学省の全国学力調査結果では、家で授業の復習を「している」「どちらかといえばしている」と答えた小学6年生は51.5%、中学2年生では48.8%となっている。反転授業では全員が事前に家庭で学習することが前提になっているので、約半数の家庭学習をしていない子どもたちをやる気にさせる優れた教材が必要だ。初めはタブレットの目新しさで飛び付くだろうが、飽きてきたときに継続できるかは教材の質に左右される。武雄市では当面、民間の通信教育塾の教材を利用するというが、そのまま学校にスライドできるのか、見直しが必要になるだろう。また、塾や習い事で家庭での時間がない子も多い。その子たちへの対応をどうするか。

(2)家庭のWi-Fi環境整備

今では多くの家庭にWi-Fi環境が整っているが、全員の家庭には普及していない。教材の配信や学習履歴の記録がサーバー経由になると、Wi-Fi環境が必須になる。ローカルでも使用できるようにするのか、イーモバイルのようなネット端末を提供するのか、対応が注目される。

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