従来の授業と宿題の役割を反転させる、「反転授業」と呼ばれる教育スタイルが世界的に話題となっている。ビデオ教材などを利用して自宅で知識の修得を済ませ、対面型の授業では応用課題やディスカッションなどに取り組む。
 この反転授業を国内で初めて小学校で実施したのが、宮城県の小学校教諭である佐藤靖泰氏と、東北学院大学 教養学部人間科学科 准教授の稲垣忠氏。取り組みを通じて分かった反転授業の効果と課題について、稲垣氏に聞いた。(記事構成は編集部)

山内:佐藤先生と稲垣さんは、かなり早い段階から反転授業に取り組まれてきました。小学校での反転授業としては、国内初なのではないでしょうか。

稲垣:そうかもしれません。佐藤先生と一緒に、2012年から反転授業の実践を始めました。佐藤先生とは、2007年頃に、電子黒板に関する文部科学省のプロジェクトで初めてお会いして、それ以来の知り合いでした。

 ちなみに、日本語で「反転授業」と名付けたのは、山内先生なんですか?

東北学院大学 教養学部人間科学科 准教授の稲垣忠氏。小学校から高等学校までさまざまな学校現場に関わりながら、情報教育や教育の情報化、学校間の交流学習などをテーマに研究を続けている
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「反転授業」の起こり

山内:それが、僕もよく分からないんですよね。最も初期に訳したのは確かだと思うんですけど、誰が一番最初かというのは検証のしようがないので(笑)。

 僕が2011年に書いたブログの記事が、反転授業という言葉の定着に寄与したということはあると思います。その頃、海外の教育関係者のTwitterをモニターしていたら、すごい勢いで「Flipped Classroom」という言葉が出てきたので、これは大変なことになっているぞと思って紹介したんです。

 当時は、「Khan Academy」の創始者サルマン・カーン氏の、TEDでのプレゼン動画も話題になっていました(関連記事:講義が宿題になる――「反転授業」 カーンアカデミーが変えた講義と宿題の関係)。カーンさんは反転授業を意識してKhan Academyをつくったわけではないのですが、学校現場の先生たちが反転授業の教材として使い始めたんですよね。

 その頃、米国では同時多発的に反転授業の取り組みが始まっていました。その中でも一番影響力があったのが、コロラド州の高校の先生たちでしょう。病気で学校を休んだ子供のためにポッドキャストを通じて授業をしたところ全く成績が下がらなかったので、だったら全員に映像で授業をして、空いた時間に演習や応用学習をしようということを始めたんですね。

 米国でこうした実践が広く普及し始めたのが、2009年から2010年頃です。日本では、2011年から2012年にかけて、この言葉が急速に広まりましたね。

東京大学大学院 情報学環 准教授の山内祐平氏。大学などにおける反転授業に早くから取り組んでおり、2014年春からは、NTTドコモと共同で、MOOCを活用した公開型の反転授業の実証研究を開始予定
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