タブレットをはじめとする情報端末を学校現場に導入しようとする動きが、いつになく活発化している。政府や文部科学省は、2020年に向けて児童・生徒1人1台ずつの情報端末の導入を推進する姿勢を明らかにしている。さらに、実際に整備に踏み切る自治体も複数登場した。
 ただ、単に機器を整備するだけでは、教育の質は改善されない。学校現場におけるICT活用の第一人者で、全国を飛び回りながら小中高等学校でのICT活用の指導を続けている、玉川大学教職大学院 教授の堀田龍也氏に聞いた。(記事構成は編集部)

山内:堀田さんとは長い付き合いですが、こうやって2人で対談というのは初めてですね。一緒にカラオケしたり、温泉に入ったりしている仲なのに(笑)。

堀田:そういえばそうですね。思い起こせば僕が「山内祐平」を発見したのは、僕が小学校教員で山内くんが大学院生のときでした。当時山内くんは「プレゼンテーション・デザイナー」というプレゼン学習支援ツールを開発していて、学会発表で目にして「なんて天才的なヤツがいるんだ」と思ったのが最初でした。

 山内くんはそれから高等教育や生涯学習の方に華麗な転身をしましたが(笑)、僕は相変わらず同じように小学校の情報化をやり続けているわけです。

玉川大学教職大学院の堀田龍也教授。全国の学校を回り、現場の教員に対して、ICT活用を丁寧に指導している
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山内:大事な仕事をずっと続けてきてくださっているんですよね。まさに今日の対談のテーマになりますが、総務省によるフューチャースクール推進事業が最終局面を迎え、今は“1人1台”の整備が政策的にも重要な課題として出てきています。

 コンピューターを使った教育というのはこの数十年間研究の対象になっていて、研究者がアドバイスをしつつ、有能な教師がコンピューターを使って教育をすることに効果があるというのは僕も確信しています。ただ、これを学校全体で、全ての教師がやるということは、かなり難しいのではないかと思います。今まで経験したことのない多くの課題があるのではないでしょうか。

 お金をかければ、タブレットを全員に配ることはできます。それを、先生や児童・生徒がみんなで活用して、より良い教育につなげるには、そのための組織を作ったり、家庭のサポートを得たりしなければなりません。その、学校ぐるみ・地域ぐるみで取り組むためのノウハウこそが、最先端のテーマだと考えています。

 今は機器を入れる・入れないという議論に終始しがちで、どういうふうに機器を入れていくべきかというノウハウはほとんど流通していません。それについて、今日はぜひ伺いたいと思っています。

東京大学大学院 情報学環の山内祐平准教授。以前は初等中等教育を専門としており、堀田氏ともその頃からの付き合いという
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堀田:なるほど、分かりました。よろしくお願いします。

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