「学会」と名の付くあまたの団体の中で、異彩を放つのが「ニコニコ学会β」だ。ニワンゴが運営する「ニコニコ生放送」を舞台にした、ユーザー参加型の学会である。過去に4回開催したシンポジウムには、さまざまな研究者が登壇してプレゼンテーション。いずれもニコニコ生放送上で生中継され、10万人を超えるユーザーが視聴した。画面上には、ニコニコ生放送に付き物の「コメント」が絶えず飛び交う。2013年には、メディアアートに関する国際的な賞「プリ・アルスエレクトロニカ」を受賞した。
 ニコニコ学会βは、有志の委員会によって運営されている。委員には、著名な大学教授やメディアアーティスト、起業家らが名を連ねる。委員長を務めるのは、産業技術総合研究所主任研究員でメディアアーティストの江渡浩一郎氏だ。ニコニコ学会βを発案したきっかけや、運営にかける思い、舞台裏などを聞いた。(記事構成は編集部)

山内:ニコニコ学会βには、私自身以前からとても興味を抱いていました。まず、ニコニコ学会βが一体どんなものかというところから、改めて教えていただけますか。

江渡:ひと言で言えば、ニコニコ生放送を使って学会を開催する試みです。といっても、従来の学会をニコニコ生放送で中継するわけではありません。

実行委員長としてニコニコ学会βを主導する、江渡浩一郎氏
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 「ニコニコ動画」には、自分で新しいロボットを作ったり、新しいユーザーインタフェースを作ったりする過程を公開する人たちがいます。こうした人たちも、ある種の研究者ではないかと考え、僕たちは彼らを“野生の研究者”と呼んでいます。

 このような野生の研究者とプロの研究者が、お互いの知見を公開し合う場を作りたいと考えました。そこで生まれたのが、ニコニコ学会βです。普段ニコニコ動画を見ているユーザーも、参加できるようにしています。

山内:江渡さんの説明を聞くと、「なるほど、そうか」と納得してしまうのですが、実際にやるとなったらかなり思い切った取り組みだと思います。そもそも、どうしてそのようなことをしようと思ったのですか。何かきっかけがあったのでしょうか。

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