PC Onlineの読者であれば、ディスプレイはより大きくして、キーボードは本体とは別に切り離してキータッチに適した場所に置いて作業するのが、作業する上で目にも体にも楽だというのはよくご存知だと思います。それが職場で支給されるパソコンで実現できているかというと、また別の問題だとは思いますが……。女性の私から言えばパソコンを買ったときに標準で付いてくるマウスが大きすぎるんですよねえ。「世の中のパソコンユーザーは私より手が大きい人が多いのかしら」と思うのですが、男性用として作られているのでしょうか。パソコンとは関係ありませんが、座りやすいということで有名な椅子も私には大きすぎます。

 さて、今回は「目にやさしい」ということでパソコン環境を考えてみます。その中では少し専門的な(オタクな?)話も出てきます。

ドライアイ対策に、職場の「風」を考慮しよう

 パソコンを使う上で目に良い環境というものを調べてみると、「快適な湿度・温度にしましょう」ということがよく言われています。これは、目に限らず体に対しても優しい環境です。ただ湿度・温度だけで判定できないのが「風」の影響です。ドライアイの症状がない方でも、風に当たると目が乾くのがよく分かると思います。エアコンの風はドライアイを引き起こす原因の一つとされています。ドライアイの患者さんには診察室の扇風機を止めてほしいと希望されるくらいですし、冬の乾燥時期はエアコンに耐えきれず自宅を床暖房にした方もいらっしゃいます。

 ドライアイの研究にラット(動物実験用のねずみ)をブランコに乗せた動物実験があります。これネタではなくて真面目な話です。遺伝子操作や手術・薬でドライアイを起こすのではなく、パソコンを使うことによる起こるドライアイについての実験ということで考え出されたものです。

 簡単に降りられない高さのブランコに乗せられたラットは、緊張してまばたきが減ります。初回の記事で書きましたが、私たちはふだん1分間に20回ほどのまばたきをしています。しかし、パソコンを使うとこれが6回に減ってしまいます(関連記事:「ブルーライトカット眼鏡、本当に効くの?」)。この実験でラットは、30分間のまばたきが52回から15回に減ったそうで、減り方が人間の場合と非常に似ています。このラットに風を当てると、目の表面に傷ができます。パソコンを使ってまばたきが減ったところにエアコンの風が当たると同じことになるわけです。これはつらくなります。職場ではエアコンの風が直接当たらないような工夫が必要となります。

 余談ですが、寝ているときの付けっぱなしのエアコンや扇風機もドライアイの原因となります。眠っている時には涙の分泌がありません。そして意外にまぶたはしっかりと閉じていないことも多く、熱帯夜の翌朝「起きたら目が開きにくい、はれぼったい、よく見えない」という訴えの患者さんを診察することが結構あります。自覚症状と診察時に見える目の傷の状態から診断がつき、私は「真夏のドライアイ」と勝手に呼んでいます。あくまで定説ではなく私の観察なのですが、お酒を飲んだときには薄目を開けて寝ている方が結構多いようです。寝苦しい夜が続いたとき、ちょっとお酒臭い人がこんな症状で来院されて、「夕べ、結構飲みました? そしてエアコンを付けたまま寝てしまいましたか?」と伺うと「ど、ど、どうして分かるんですか?」とうろたえる人がいます。そこで、「私、実は『見える』んです」とからかってみたくなります。実際はまじめに説明しているだけですが……。

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