大学生活協同組合(以下、大学生協)と日経パソコンが共同開催している大学生のプレゼンコンテスト「日経パソコンカップ」。その秋田大学予選が2013年7月6日に催されました。秋田大学生協によるパソコン講座「Akita PC Lab.」の受講生の中から、クラス内予選を勝ち抜いた12チームが集まり、大学代表の座を懸けて競い合いました。

 日経パソコンカップは、一部の大学生協が新入生向けに提供しているパソコン講座の受講生を対象としたプレゼンテーションの大会。今回は秋田大学、岩手大学、東北学院大学、弘前大学、福島大学、山形大学の各大学生協が参加しました。受講生がそれぞれ2~8名のチームを結成し、PowerPointを使った5~10分のプレゼンを行います。

 プレゼンのテーマは、日経パソコンが提供する教育機関向けコンテンツサービス「日経パソコンEdu」に掲載されたIT関連のニュースを、大学生向けに分かりやすく伝えること。参加した大学生協では、日経パソコンEduを講座の副教材として採用しており、日経パソコンEduの中から関心のあるニュースを取り上げて、自分なりの視点で調査や考察を付け加えて発表します。そのプロセスの中で、情報の収集、編集、表現、プレゼンなど、大学生ひいては社会人として必要なIT活用スキルを獲得することが目標です。

自分が死んだらネット上のデータはどうなる?

 秋田大学生協では、事前に8つのニュースをテーマの候補とし、各チームが関心のあるものを選択しました。具体的には、「iPadを追うSurface」「Twitterで炎上が相次ぐ」「アップル、電子書籍を国内向けに配信」「XPサポート終了の影響と課題」「スマートフォン向け動画をテレビで視聴」「ネットのエンディング対応始まる」「広がる月額980円のスマホ回線」「新型スマートフォン続々、新OSも登場」の中からテーマを選びました。

 とりわけ関心が高かったのは、意外にも「ネットのエンディング対応」。ユーザーが死んでしまった後、その人のパソコンの中のデータや各種Webサービス上の個人データはどうなるのか――という、若い学生には縁遠いと思われるテーマです。代表決定戦に臨んだ12チーム中、4チームがこのテーマを選択していました。SNSなどを日常的に活用している大学生にとって、事故や災害による“突然の死”が訪れた場合に、自分の個人データやアカウントがどうなるのか、どうすべきなのかは、気になるテーマのようでした。

 秋田大学代表に選ばれた井上晃汰さん、乙黒将史さん、齋藤明日美さん、櫻庭彩乃さん、井上悠さん、大内圭祐さんのチームも、このエンディングをテーマに発表しました。「もし君が死んだら…Facebookはどうなる?」と題して、普段から使っているFacebookのアカウントを中心に、死後にプライバシーを保護する方法や、そのために生前準備しておくべきことなどを解説しました。ストーリー仕立ての分かりやすいプレゼンが聴衆を引き付け、見事、代表の座を獲得しました。

 ほかにも、学生による不適切なツイートが炎上を招いた例を挙げながらTwitter利用時の注意を喚起するチーム、スマートフォンの選び方をOSの違いなどから分かりやすく解説するチームなど、学生の身近な問題意識を反映した素晴らしいプレゼンがありました。審査員として招かれた秋田大学教育文化学部 学部長補佐の林良雄教授は、「要点をうまくまとめているチームが多く、好感が持てた。この発表を通じて考えさせられたことがあると思う。それが学習として良かったのではないか」と講評。と同時に、「もう一歩進むためには、ネットで調べるだけでなく、自分なりの考え、独自の視点を持ってほしい。同じテーマであっても、それをどう考えられるかが大切だ」とアドバイスしました。

講座スタッフは全員MOS試験に合格

 秋田大学生協では、2003年から「Akita PC Lab.」というパソコン講座を実施しています。講座は1回90分。全10回を通じて、Wordによるレポート作成、Excelによるデータ処理、PowerPointによるプレゼン、そのほかトラブル対策などを学びます。2013年度は、4月の初回時点で、秋田大学の全新入生の約3分の1に当たる324名が参加しました。

 講座は学生が主体となって運営し、講師は先輩の学生たちです。講座の質を保つために、前年の秋から約6カ月をかけて講師の育成や講座づくりを進めます。さらに2013年度は、学生スタッフ全員に「MOS(Microsoft Office Specialist)」の取得を義務付けました。同講座スタッフからは昨年、2012年のMOS世界学生大会で8位という快挙を成し遂げた学生も出ているそうです。

 そのように高いスキルを持つスタッフがいるだけでなく、同じ大学の先輩が教えるということが、受講生にとって大きな利点だといいます。「先輩が講師となることで、レポートの書き方やプレゼンの仕方などを、秋田大学生に合った形で具体的に教えられる点がメリットです。またパソコンのことだけでなく、学生生活についてもいろいろとサポートできます」(2013年度講座スタッフのリーダー、工学資源学部3年の菅谷直仁さん)。

 ただし、講座の運営には課題もありました。それは“脱落者”の存在です。講座に申し込んだものの、最終回までたどり着かず、途中でやめてしまう受講生もいるそうです。2012年度は、残念ながら3割強の受講生が途中で脱落してしまいました。

 そんなときに舞い込んだのが「日経パソコンカップ」の企画でした。「与えられたものをやるだけでなく、チームを作って能動的、主体的に動く部分がないと意欲が続かない」(秋田大学生協 米田正道氏)と考えて、日経パソコンカップへの参加を決めました。学生スタッフによる講座の工夫や丁寧なサポートも功を奏し、2013年度は9割近い受講生が最終回まで学び通したそうです。

 その受講生約300名の代表となった今回の予選会の優勝チームは、9月に東京で開催される決勝大会に挑みます。

秋田大学代表に選ばれたチームのプレゼンテーマは、Facebookの「エンディング対応」。死後にメッセージが送れる「If I die」というアプリを紹介するなど、突然の死に備えた準備の必要性や具体的な方法を紹介した
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不適切な投稿によるTwitterの“炎上”について解説し、注意を促すチーム。日ごろから活用しているSNS上のトラブル事例は、大学生にとって身近な問題のようだ
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スマートフォンの普及率などを示しつつ、スマートフォンの進化の状況やスマートフォンの選び方を解説するチームもいくつか見られた。会場では8~9割の学生が既にスマートフォンを利用しているようだった
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表彰式後の記念撮影。右端は秋田大学生協理事長で、秋田大学大学院工学資源学研究科の麻生節夫教授
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審査員として講評を述べる秋田大学教育文化学部 学部長補佐の林良雄教授。右は秋田大学総合情報処理センターの吉崎弘一准教授
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