アップルのおかげで、小文字の「i」を何かと名詞の前に付けることが流行った(iPhone、iPadなど)。これと同じ頃から「un」という文字を単語の前に付けることも広まり始めた。

 私が最初にこの「un」に遭遇したのは、あるテクノロジーの会議でのこと。コンピュータ関連書籍で知られるオライリー・メディアが主催する会議だった。会議と言っても、通常の大企業が開催するような大規模、かつプログラムがしっかりしているものではなく、プログラムは緩く作られているだけ。とにかく先鋭的なアイデアを出し合おうというタイプのものだった。集まっている人々も、ディープなテクノロジー関係者ばかり。その会議の中で、さらに「unconference」を開催するというのだ。

unconference=会議でないもの

 「un」というのは、「~でないもの」「似ているけれど違うもの」という意味だが、では「会議でないもの」とは何か。それは、テーマもなく、参加も自由で、司会もおらず、集まった人たちの中から何かが生まれたり、つながりができたりすることを目指したものだった。

 「今こんなことを話したい」と思った人がそれぞれ、壁に貼られた紙に書き込む。他の人はそれを見て、ピンと来ることを書いた人のところへと集まる。そこから何となく話し合いが始まるわけだ。きっちりとしたプログラムがないと落ち着かない人には、一体何が出てくるのかと戦々恐々。せかせかと何かを決めたい人にとっては、行く先の見えないイライラさせられる環境だ。

 この「unconference」というのは広く行われているようで、企業や大学、職業を同じくする人たちのグループなどで特別なイベントとして設けられる機会も多くなっているようだ。会議の参加者にありがちな受け身な態度をやめて、全員が参加意識を持ち、また会議進行のような定型に収まらず、自由なやりとりを通して相手から学ぶ。

 これを成功させるには参加者の意識が重要だが、それなり「技」も必要になる。今や組織の中に入り込んで「unconference」を行うことを専門にするコンサルタント会社もあるようだ。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら