図書館は教室と対になる重要な学習の場である。図書館と言えばずらりと並ぶ書棚がある風景を思い浮かべるだろうが、米国では電子書籍の普及により、今までの常識では考えられない図書館が出現している。

紙の本がない図書館

 2010年9月、テキサス大学サンアントニオ校に、紙の本が全くない「応用工学・テクノロジー図書館」が開館した。この図書館では、「Kindle」、「Nook」などの電子書籍リーダーで読める42万5000冊の電子書籍と、1万8000タイトルの電子ジャーナルを利用できる。ほぼ同じ時期に、スタンフォード大学でも、蔵書を大幅に減らし、電子化を進めた「ターマン工学図書館」がオープンしている。

 理工系は論文のほとんどが電子ジャーナルでアクセスできるようになっており、教科書も急速に電子書籍化が進んでいる。工学系から始まったこの動きは、他の領域にも今後広がっていくだろう。

 もちろん、図書館の全ての蔵書が電子化されるには相当時間がかかるだろう。特に人文社会系は古い資料の価値が相対的に高いため、今後数十年は紙の本と電子書籍が併用されると考えるのが現実的である。

 ただ、工学系から始まった図書館の電子化は、図書館の存在意義について間い直さざるを得ない時代が来ていることを端的に現している。紙の本がなくなったとき、図書館はどのような目的のために存在する場所になるのだろうか。

テキサス大学サンアントニオ校にある応用工学・テクノロジー図書館(Flickrで公開されている画像より)。紙の本は配架されておらず、学習スペースと情報端末だけ用意されている
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