前回(「「1人1台」のタブレットパソコン導入で何が見えたのか」)から引き続き、ガイドライン(手引書)から見えてきた、同事業の成果と課題について続けます。子どもたちに対しタブレットPCや電子黒板などのツールがどう役立ったのか、そのようなICT(情報通信技術)機器を取り入れて指導する先生方の意識はどう変化してきたかについて、お話したいと思います。

紙のノートでは実現できない、みんなと自分の考えと比べるスタイル

 フューチャースクール推進授業のの大きなテーマのひとつに「協働教育」があります。子どもたちが互いに教えたり、学んだりして知識を習得し理解を深めるという授業形態のことを指します(子どもたちの立場からすれば「協働学習」となります)。協働教育は従来の教室でも見られたことですが、フューチャースクールではICTを活用することで新たなスタイルの協働教育の可能性を検証しています。

 子どもたちが自分のタブレットPCに問題の考え方や解き方などを書き込むと、その内容が無線LAN経由で先生の手元のコンピューターに表示されます。このとき、何名かの子どもの画面を選び、それらを電子黒板に並べて表示して比較することもできます。この画面をみんなで見ながら、友だち同士で考え方を比べて評価し、自分の考え方を改善したり発展させたりするわけです。従来の紙のノートを使った学習では容易にできないことです。一方、調べ物の結果をプレゼンテーションソフトでまとめてファイルに保存するだけで、それをサーバー上で共有し、先生のコンピューターで開いて電子黒板に表示できます。クラスの友だちの前で発表する際に自分の端末を持って行って、電子黒板に接続し直す必要がありません。

小学校1年生の算数の授業で、児童が「数のまとまり」とは何か、自分の考えをタブレットPCに書き込んでいるところ(左)。複数児童の「数のまとまり」についての書き込みを電子黒板の画面に表示して(右)、クラス全体で話し合った(出典:「教育分野におけるICT利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン(手引書)2011」p.53)
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 筆者が訪問した小学校では、コンバーチブルタイプ(普通のノートPCとタブレットPCの2通りの使い方ができるタイプ)のタブレットPCを使っている教室で、ディスプレイ画面をクルッと回して自分が書き込んだ内容を向かい合った席の友だちに見せて説明したりする光景がよく見られました。これはまさに、営業マンが顧客に商品案内をする仕草そのものです。子どもたちはだれに教わるというわけでもなく、人に見せるのに適した使い方をマスターしているようです。

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