「オンラインで学べる時代には、教室は不要になるのか?」
 この問いを考えるに当たって紹介したいのが、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の協調学習教室「TEALスタジオ」である。

 この教室は、300人を超える大人数講義では物理の本質を学ばせることが難しいと考えたプロジェクトリーダーのジョン・ベルチャー教授が、グループで実験する活動を通じて物理の概念を学ぶ授業を行うためにデザインしたものである。

教壇がない教室

 TEALとは、「Technology-enabled active learning」の頭文字を組み合わせたものだ。技術を活用しながら、学生自身が主体となって学ぶ教育の形を意味する。

 TEALでは、Webで予習をした上で、授業の最初に実験の予想をする。そして仮説をグループで討議し、机の上に用意されたキットで実験を行う。次に、実験結果をキットに接続されたパソコンを使って分析し、仮説が正しかったかどうかを検討する。結果を発表した後、コンピューターで実験の内容を可視化しながらシミュレーション。仮説と実験結果の関係をグループで再討議し、授業後に発展課題のレポートを作成する。

 TEALスタジオは、こうしたスタイルの講義をするために作られた教室だ。ここには、いわゆる「教壇」がない。教員は授業開始時に中央にある制御卓で実験の説明をするが、その後は、教室を回りながら学生に助言することが仕事になる。評価や機器操作についてはティーチングアシスタント2名がサポートしているため、教員は学習の支援のみに集中することができる。

 「黒板」もなく、7枚のスクリーンが情報共有の役割を担っている。壁にはホワイトボードがめぐらせてあり、個別のグループにアドバイスした説明の図をカメラで撮影して、教室全体で共有できるようになっている。

MITに設置されているTEALスタジオ(MITが開設するTEALのWebサイトより)。定員9名の丸テーブルが13個用意されており、最大117名が利用できるICT統合型の協調学習教室である
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