米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が2011年8月、ニューヨークタイムズ紙のインタビューで語った予測が波紋を呼んでいる。「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」というのである。

 情報化が進むに従って、我々の働き方は大きく変わってきている。例えば、10年前には「情報セキュリティマネージャー」や「ソーシャルメディア・コーディネーター」などという職業は存在しなかった。企業がイノベーションを進めるたびに、業態の変化によって新しい職業が生まれ、既存の専門職を置き換えつつある。

 65%という数字は米国を対象とした予測であり、日本でも同じようになるかは分からない。ただ、国際化が進む世界では1つの国で起こった変化が他の国に瞬く間に広がる。若者の雇用不安が世界的現象になっているのはそのためだ。私自身は、雇用の前提となる専門性の変化が常態化し、職業が安定した存在でなくなることは間違いないだろうと考えている。

 現在の教育は、19世紀末から基本的な構造が変わっていない。大学で専門家を養成することを頂点とし、必要な知識や技能を段階的に小学校から積み上げていくという仕組みである。このシステムは微修正を積み重ねながら、100年以上有効に機能し続けてきた。しかし、職業が安定したものでなくなるとすれば、教育システムは大きな変化を迫られることになる。

 米国の教育関連ニュースサイト「MindShift」でも、大学生が今まで存在しなかった職業に就くためにどの専門を選ぶのが有利かを考え始めていることが報じられている。コミュニケーションやチームワークなど「転移可能な一般的能力」を重視するようになっているというのだ。

「MindShift」のWebサイト。2011年10月7日の記事で、キャシー・デビッドソン氏の予測を引用しながら、大学生が今まで存在しなかった職業に就くためにどの専門を選ぶのが有利かを考え始めていることを報じた
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