先週、米グーグルによるモトローラ・モビリティ買収が話題になったと思ったら、今度は米ヒューレット・パッカード(HP)がwebOSを使ったモバイルデバイスビジネスの打ち切りを発表しました。webOSは、旧パームが開発したスマートフォンなど向けのOSで、HPが2010年にパームを買収して得たものです。

 HPは、パームの買収によりモバイルデバイス部門を強化し、スマートフォンを含めたモバイルデバイスのビジネスを立ち上げる予定でしたが、今回の決定によりモバイルデバイスビジネスからは離脱することになります。また、同時に、パソコンを扱うPersonal Systems Groupの分社なども視野に入れて、ビジネスの再編を行うとの発表もあり、今年HPは大きく変わりそうです。

 HPは、モバイルデバイスと深く関わってきました。パームの買収も、それまでWindows Mobileベースで進めていたモバイルデバイスビジネス再興のために行われたのです。モバイルデバイスとHPとの関係を見るには、HPのこれまでの経過を見る必要があります。

 HPの創業は、1939年で、ヒューレットさんとパッカードさんが創業者で、この2人の名前を合わせてヒューレット・パッカードとしました。米国には、創業したときに2人が使ったガレージがまだ残っており、今では史跡として保存されているようです。日本との関係も深く、1963年には横河電機との合弁で横河ヒューレット・パッカード(YHP)が設立されています。

 創業時には測定器が中心でしたが、1966年にはコンピュータービジネスに参入したり、1970年代にはハンドヘルド関数電卓を開発したりするなど、古くからバッテリーで駆動する計算機を作ってきました。1980年代のRISCプロセッサーブームでは、「PA-RISC」と呼ばれるプロセッサーを自社開発し、その後、Itaniumプロセッサーをインテルと共同開発しています。

 2001年には、米コンパックを買収し、現在ではパソコンのシェアでは世界一になっています。HPが大きく変わったのは、1999年に測定器部門を「アジレント・テクノロジー」として分社したときです。そして、2001年にコンパックとの合併を行い、コンピューター中心の企業となります。

 そのコンパックは、かつてはWindows CEを採用した「iPaq」というハンドヘルドコンピューター(PDAという呼び名が広まるのはこのあとです)で高いシェアを持ち、それがHPに引き継がれて、同社のモバイルデバイスビジネスへとつながっていきます。

 そもそもiPaqは、コンパックが1998年に買収した米DEC(Digital Equipment)が研究していた「Itsy」というハンドヘルドコンピューターに源流があります。DECは、ARMからライセンスを受けて高速処理が可能なStrongARMプロセッサーを開発。これを使ったハンドヘルドコンピューターを開発していましたが、買収によりコンパックがこれを引き継いでiPaqとして商品化しました。iPaqは、当時としては高速なハンドヘルドコンピューターで、Windows CEやのちのWindows MobileがARM系のみになったのも、StrongARMプロセッサーがあったからです。

 HPはコンパック買収後もiPaqシリーズを継続したが、製造は台湾メーカーに委託されました。そのメーカーが台湾HTCでした。

 ところが、HPは、iPaqシリーズをスマートフォン化した製品を出したものの、Windows Mobileにこだわりすぎて、Androidを採用することもなく、ビジネスはパッとしませんでした。

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