2011年7月、韓国の3大ポータルサイトの一つである「NATE」を運営するSKコミュニケーションズがハッキングされ、約3500万人いる会員の個人情報が流出するという事件があった。韓国の人口は約5000万人なので、人口の3分の2が被害者という大規模な個人情報流出事件に国中が大騒ぎとなった。SKコミュニケーションズはポータルサイトNATEのほか、10~30代のほとんどが会員となっている個人HOMPY(韓国の元祖ソーシャルネットワーキングサイト)の「CYWORLD」、インスタントメッセンジャーの「NATEON」を運営する、最大手移動通信キャリアSKテレコムの子会社である。

3500万人もの会員情報がハッキングされたSKコミュニケーションズが運営するWebサイト「NATE」
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 韓国の個人情報流出が怖いのは、国民IDである住民登録番号と氏名、電話番号、住所といった個人の重要な情報が全部盗まれ、振り込め詐欺に悪用されているからである。個人の情報を手に入れた詐欺師は警察や銀行を名乗り、銀行口座が犯罪組織に乗っ取られたので貯金を安全に守るため他の口座に移す必要があると騙して振り込ませる。自分の名前、住民登録番号、電話番号、住所、家族関係まで相手が知っているので、騙される人も少なくない。

 税金、医療、教育、不動産取引などに使われる重要な国民IDであるはずの住民登録番号を、個人確認できる手っ取り早い手段としてWebサイトの会員登録に要求し続けた結果、国内のWebサイトをハッキングして手に入れた個人情報で振り込め詐欺をする詐欺団がなくならない。中国発ハッキングが最近大問題になったが、さらに北朝鮮のハッカー部隊が資金作りのために中国の詐欺団に手を貸しているという報道もあり、不安は募るばかりである。

 また、IDとパスワードを使って他人のメールやメッセンジャーにログインし、メッセンジャーに登録されている人にお金を振り込ませるなりすまし詐欺も広がっている。インターネット振興院の調査によると、韓国ネットユーザーの84%はインスタントメッセンジャーを使っているだけに、いつ自分が被害者になるか分からない。

 個人情報流出事件はこれが初めてではなく、オークションサイト、ショッピングサイト、オンラインゲームサイトなど、1000万人規模にのぼる会員情報ハッキングは今までに何度も繰り返されている。

 その度に会員らは個人情報が侵害されたことに対してサイト側に損害賠償を求めているが、要求が認められたことはない。

 しかし今回の事件では、個人情報が流出した被害者の一人がソウル中央裁判所にSKコミュニケーションズを相手取り裁判を起こした。会員の個人情報保護管理を疎かにした責任を取るべきとして慰謝料を払うよう求めたのである。裁判所はSKコミュニケーションズに100万ウォン(約7万1300円)の慰謝料を支払うよう命令を下した。SKコミュニケーションズが支給命令に異議を申し立てる場合に、慰謝料をめぐる法的攻防が始まる。

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