後世の識者は、3.11の東日本大震災と原発事故こそが「メディアの大転換期」だったと記録するかもしれない。善くも悪くもマスコミへの信頼が大きく揺らぎ、口コミならぬネットコミの中に事実を探す人が増えているからだ。

 ただし、必ずしもネットコミが万能だとは限らない。あまりの情報の多さに戸惑い、自分に必要な情報を見つけられない人も多いはずだ。また、風評や悪意のある誤報も紛れ込んでいる。

 そこで、マスコミとネットコミを上手に使い分けて、時間をかけずに事実をつかむ方法を考えてみたい。

1.眉唾記事は検索で確認

 今回の原発報道で、多くの人が気付いたように、現代ニッポンのマスコミには書きたくても書けないことがある。政府や役所が記者クラブを通じて流す「大本営発表」や、大口の広告主や株主に関する「お得意先情報」などは、眉に唾をして眺めよう。

 「おやっ」と思ったら、その記事名で検索をしてみる。異論や反論が書かれていたら、よく読んで中立を保とう。

2.デマ8割? ネットコミの誤報拡散

 時にはマスコミにも偏りや誤報があるが、それでもネットコミに比べれば、その比率は小さかろう。正確な比率など測りようもないが、ネットコミの8割はデマかもしれないと、私は慎重に考えて判断するようにしている。ネットの情報はコピーが簡単な上、昨今はTwitterのリツイートやFacebookの「いいね!」で簡単に増殖するからだ。

3.マスコミ×ネットコミで時間短縮

 24時間流れてくるネットニュースやネットコミをリアルタイムで見ていたら、1日はあっという間に終わってしまう。四六時中ネットをチェックし続けるのではなく、1日に1、2度、テレビかラジオのニュースを「聴きながら仕事をする」か、新聞や雑誌をまとめて「斜め読み」して、情報を集める方が効率的だ。

 その上でネットを併用するのがコツ。最近はTwitterで誰もが番組や記事について質問・コメントできるので、他人の意見も閲覧できる。

4.ジャンル別の師匠を2人ずつ追尾

 TwitterやFacebookを活用するなら量より質だ。1000人の凡人(?)にフォローされて返信するより、10人の師匠をフォローして学びたい。自分が関心を持っているジャンルに詳しい師匠を探して、日々の発信を追いかけよう。なるべくなら、意見の異なる2人の師匠をフォローしたい。そうすれば、より広くて深い見方が身に付く。

5.師匠の本から理論や発想も理解

 師匠のツイートを読んでいるだけでは、日々の“フロー情報”に接しているにすぎない。なぜ師匠がその出来事に注目し、どんな未来を予測しているかも知りたい。師匠の理論や発想までマネできれば、情報は貴重な“ストック情報”となり、世界の見え方も変わる。

 そのためには、師匠の本を読みあさるのが一番いい。その上で師匠の講演会や勉強会に参加してみよう。

6.自分も発信して正してもらう

 ネットは読むだけのものではない。自分で発信しなければ、役立つ情報も集まらないし、貴重なご縁も広がらない。良いと思った情報には意見を添え、思い切って発信してみよう。共感して「いいね!」と言われればうれしいし、批判コメントで自分の間違いを正してもらうことも大切だ。異論反論に耳を傾ければ、中立な意見も見えてくる。

7.過去記事のまとめ読みで検証

 証券会社に勤務していた頃、私の尊敬する上司は、日経のユニークな読み方を教えてくれた。毎日読まずに、図書館で3カ月分をまとめて読む方が、相場のトレンドが分かるというのだ。確かに、毎日読むと目先の記事や株価の上下ばかり目に入る。しかし、まとめ読みをすると、予測記事や株価の上下も実はノイズだと分かるようになる。大局を見るクセが身に付くのだ。

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 私たちはマスコミとネットコミに恵まれたぜいたくな環境にいる。ぜひ、双方のイイとこ取りをして、時間と手間をかけずに、事実と知恵をつかもう。

出典:日経パソコン 2011年8月8日号
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