2週前のこのコラムで、日頃使っているヘッドホンの音質をさらに迫力ある音で再生するためのノウハウをお伝えした。今週は、そこでも軽く触れたが、もっと本質的に良い音を聴くための方策を御紹介しよう。

iPod、iPhone、iPadから「原音」を取り出そう

 前回のコラムでも述べたことだが、iPod/iPhone/iPadはとても高品位な音楽再生機能を持っていて、適切な再生環境をそろえたり、音にダイナミックスを加えるアダプターなどを装着すれば、かなり良い音が楽しめる。ところが、限られたスペースに押し込んだ小さなチップではどうしてもダイナミックレンジの狭い音場再生しかできず、部屋で音に抱かれて音楽を楽しもうと思っても、いま一つ満足できない面もあると書いた。

 iPod/iPhone/iPadのイヤホン出力にオーディオ出力ケーブルをつないで、本格的オーディオ装置につなげば、かなり良い音が楽しめる。しかし、デジタルオーディオファイルを、iPod/iPhone/iPadの内部に組み込まれた「DA(デジタル/アナログ)変換チップ」で復調して取り出すわけだから、どうしてもダイナミックレンジの狭い音質になってしまう。決して「音が悪い」というレベルではないが、ハイクオリティーサウンドを求めている音楽ファンにすれば、物足りない。

 解決方法の一つは、iPod/iPhone/iPadの中に収められた音楽データをそのまま外に取り出し、よりパワーと安定性の高い「デジタル/アナログ」変換を行い、余裕のあるパワーアンプで外付けのスピーカーを鳴らしてやることだ。こうすれば、iPod/iPhone/iPadの中に納まっているデジタルオーディオファイルの持つ、本来の音を余すところなく再生できる。

 iPod/iPhone/iPadのDockコネクター経由で内部の音楽データを直接読み出し、光ケーブルでオーディオアンプにつなぎ込むアダプターなども多種製品化されていて、すでにそうした製品で音楽を楽しんでおられる読者も多いことだろう。しかし、そうした製品は用意するべき機材が多い上に接続が面倒だった。

 そんな問題を払拭するのがiOS 4.2で可能になったネットワーク経由のロスレス転送「AirPlay」技術だ。うれしいことに、最近これをライセンス導入した製品が複数登場し始めた。iPod touchやiPhone、iPadといったiOS機に収めた音楽ソースをネットワーク経由でAV機器に送り、オーディオ再生に特化した回路で復調して、外部スピーカーを鳴らす。一度オーディオ機器にネットワークをつないでしまえば、再生のたびにケーブル接続する必要がないため、実に簡便快適、いち早く対応したマランツの「AV7005」「SR7005」(いずれも19万9500円)などはオーディオファンから注目を集める存在だった。

 デノンが6月中旬から7月上旬に発売するAVサラウンドレシーバー3機種のうち、上位2機種(AVR-3312:13万1250円、AVR-1912:8万4000円)も、AirPlay機能を組み込んだ、要チェック製品。比較的手を出しやすい価格帯に納まっているので、これまでそうした世界に踏み込んでいなかった人にも受け入れられそうだ(図1)。

図1 今回の新製品3機種の内、中間に位置するデノン「AVR-1912」。実機評価を行ってiOS機、Macとの相性をテストした。iOS機とはAirPlayで、MacとはHDMIで接続すると素晴らしい音楽体験がかなう。上位機種はさらに高品位オーディオを追究する構成となっており、レコードプレーヤーをつないでアナログレコードを再生することもできる。
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 入門者向けのAVR-1612(5万400円)はネットワーク機能を持たないため、AirPlayはできないが、USB接続でiOS機を直結できるから、iOS機内部の音楽ソースをレシーバー側で復調してオリジナル音質のまま楽しむことができる。

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