アマゾンの「出版社」化が進んでいる。

 書籍や日用品を売るアマゾンは、最近メキメキと電子書籍分野の可能性を開拓している。その結果、今や「電子書籍の出版社」と呼べるくらいにまで、その姿を発展させてしまった。あっという間のできごとである。

 ことの始まりは、Kindle Direct Publishingという自費出版のシステムだった。これは、著者が自著の電子ファイルをアップロードすれば、そのままKindle用電子書籍としてアマゾンの店頭に並ぶというスピーディーな出版方法。出版社もいらなければ、印刷所も配送会社も路面の書店もなしに、いきなり自著が世間に向けてお目見えするという仕組みである。中身と表紙のデータさえあれば、ものの20分くらいで出版できてしまう。

 作家志望や主張の強い人々が多いアメリカのこと、以前から自著を出したくて仕方がなかったが、出版社に受け入れてもらえず悶々としていた人々はたくさんいる。彼らが今、ここへ一気に集まっている。アマゾンのほかにも、こうした自費出版プラットフォームがいくつもできていて、自慢のレシピで料理本を作ったり、自分で撮影した写真集を出したりして、楽しんでいる人々も多い。

 さて、アマゾンは、そのプラットフォームを名の知れた作家のためにも提供し始めた。

 実は作家にとっては、従来の出版社経由で電子書籍を出すのと、アマゾンと直接契約して出版するのとでは、収入に雲泥の差が出る。前者では印税がせいぜい20%前後だが、後者ならば70%にもなることがある。そもそもアメリカでは電子書籍の値段がびっくりするほど安いので、出版社経由でやっていたのでは生活が成り立たない。例えば、13ドルの電子書籍だと、1冊売れて作家の手元に入るのは2.6ドル。これがアマゾンだと9.1ドルになる。

 そんな事情があって、現在、作家がパラパラと出版社から離れ始めており、アマゾンがその受け皿になっているというわけだ。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら