最近、歯医者さんの待合室で週刊誌を手に取らなくなった。少しの待ち時間ならiPadで読んだ方がよい。現在のところ、全週刊誌が手に入るわけではないのがしゃくだが、半端な空き時間にはこれで十分だ。なぜ、iPadで週刊誌を読むかといえば、 

 1)順番が来たらそのままバッグにしまい、続きは帰りの電車の中ででも読める。
 2)老眼鏡を持ち合わせなくても、一部拡大して読める。
 3)大きな図版や年表などはスリスリとスライドさせながら仔細に読み取れる。

とまあ、いろいろ。で、その3番目のメリット、スライドさせながら長尺ものを読ませるのにiPadが最適だと感じさせるアプリに出会った。「八軒家かいわいマガジン」(無料)である。

絵巻物状の古文書を読むのに最適

 このアプリ、大阪の歴史をデジタルアーカイブして世界に発信しようと立ち上げた特定非営利活動法人(NPO)「大水都史を編み後世に伝える会」が作り上げた、言ってみれば現代の絵巻物だ。八軒家とは、水の都大阪の舟の交通の要として栄えた、天満橋近くの川岸。旅籠が八軒あったことからその名が付いたとされる。何はともあれ、この画面を見ていただきたい(図1)。

図1 見開き10ページ分の絵巻が横スクロールしてかつての栄華を伝えてくれる。こういう表現は、iPadならではだ。
[画像のクリックで拡大表示]

 どうです? これはちょっと見てみなくては、と思うでしょ? コンテンツは無料、このリンクをたどれば、すぐにダウンロードできる。

 何ともあでやか、絢爛たる浪速文化が迫ってくる。バックには祭りばやしも聞こえてくる。150年前の「浪速天満祭」を描いた歌川貞秀の錦絵がスリスリ、スリスリとせり出してくる。なるほどなるほど、iPadは、工夫すればこういう見せ方ができるのか。実にしっくり来る。絵巻物をたぐってストーリーが展開して行くのは、そこはかとなく期待感が高まって、ついつい最後まで読まされる。

 iPadならこんなことできますねえと、一つの例示となるアプリでもある。こんなふうに見せられるのなら、昔の絵巻物をどんどんこのスタイルでデジタル化して行けば、貴重な文化資産になるのでは、と気付かされる。全国にたくさんある資料館、博物館の絵巻物をこんなアプリに仕立ててはいかがだろうと夢が膨らむ。まず最初に取組むべきはあの、鳥獣戯画あたりだろうか。

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