ルパード・マードック氏率いるニューズ・コーポレーションのデジタル新聞『The Daily』が昨日(米国時間2月2日)刊行された。The DailyはiPad版新聞で、しかも初めて有料の定期購読モデルで販売されるものだ(参照記事)。

 iPadは、Webで無料になってしまった新聞コンテンツを有料に戻すデバイスとして新聞業界から期待されてきた。その第一弾が登場したということだ。さっそくダウンロードして読んでみた。

 「読んでみた」と書いたが、実際は、「読む」というより「使う」という感触の方が強い新聞だ。これまでもNew York TimesやWall Street JournalのiPad版は読んでいた。これらは本当に文字をしっかり読むという感じ。ところがThe Dailyは、サクサクとページをめくっていって、文字の中にところどころビデオあり写真ギャラリーありの、マルチメディア感が増したものになっているからだ。

 まずはざっとページを繰ったところで、これは「新聞」というより「日刊雑誌的」だなと感じた。雑誌といっても、日本の週刊誌のようなノリではなくて、カラフルな写真がたくさん付いたスタイル雑誌やファッション雑誌のたぐいが、ニュース雑誌として毎日発行されているといった印象だ。

 感心したことはいくつかある。

 例えば、カルーセルビュー(いわゆるアルバムビュー)で、すべての記事のトップページを繰っていき、ざっと概要をつかむことができるようになっていること。いわば目次に写真が付いているようなもので、文字だけのリンクから選ぶよりもずっと分かりやすい。

 また、テレビやラジオが統合されているようなしかけもある。例えば、The Dailyのトップページでビデオマークをタップすると、女性アナウンサーが小さなウインドウの中に出てきて本日のトップニュースをざっと説明してくれる。あるいは、ヘッドフォンマークをタップすると、記事が読み上げられたり、要約が聞けたりする。

 イラストや写真が効果的なのも、うまいと感じた。いくらiPadでも、やはり新聞の記事を何ページにもわたって読むのはなかなか疲れる。New York Timesなどは、紙や電子版の新聞記事をそのままiPadに転載しているので、なかなか記事を読み終えられない。だが、The Dailyのようにイラストや写真があると、その疲労感が軽減する。

 いや、そもそも記事自体がかなり短い。長くてせいぜい2ページで、1ページで終わってしまうものがほとんどだ。また、iPadの画面内に3つ~4つの囲み記事(小話)がレイアウトされていたりする。よく雑誌にあるようなつくりで、まあ、こういう食べやすいものもアリか、と思った。

 写真では、記事のページで「クルッと回すと写真ギャラリーへ」というマークが出るところがある。iPadをランドスケープ(横向き)方向にすると、あら不思議、ただの横画面になるのではなく、記事部分が消えて写真だけを次々に繰ってみられるページに変わっている。いい工夫だと思った。

 今のところ、まだ慣れないので、どの部分でどんなしかけがあるのかを把握するのに手間取るが、「飽きさせない新聞」「軽快なメディア」というアプローチを狙っているのだな、ということがよく分かる。今までの新聞をただiPadに移したものでない、タブレットというデバイスやインタフェースにふさわしい新しいニュースメディアのかたちを模索しているのだ。

『The Daily』のWebサイト。iTunes経由でダウンロードできる(執筆時現在、日本からはできない)
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