「韓国デジタル教科書事情(2)」から続く)

 韓国の学校では、学校の告知事項も、先生からの宿題も、宿題を提出するのも、テストの成績を確認するのも、全部ネットで行われている。一部学校は保護者向けに教室の様子をネットで配信しているほどだ。透明で公平で「見える教育」にしないといけないという考えと、IT大国らしく、親も子どもも「ネットの方が何かと便利」という考えから生まれたものである。

 環境は整っている。子どもたちは、家に帰ったら自宅のパソコンからネットへアクセスして予習・復習をし、宿題はネット上にある先生のページに登録する。

 デジタル教科書実証実験学校の場合は、デジタル教科書でどんな勉強をして、学生ごとにどんな学習効果を得られたのか、学習過程をすべてネットで公開している。当初、デジタル教科書を使うと紙の教科書よりも目が悪くなるのではないか、電磁波の影響で背が伸びなくなるとか子どもの成長に悪影響を与えるのではないか、インターネットにつながっていないと不安になるネット中毒になってしまうのではないかなど、保護者はいろいろ心配した。しかし学校側が健康診断や心理検査も行い、学習効果を毎日測定して公開した結果、そのような悪影響はないことが判明し、保護者も安心して実証実験を楽しみにするようになった。

 韓国のデジタル教科書はどんな端末からも利用できるマルチメディア教材として開発されている。中身は日本の構想とあまり変わらない。基本的に紙の教科書をデジタル化して、重要なキーワードには動画や画像・アニメ、百科事典などがリンクされている。リンクをクリックするとそのキーワードを分かりやすく説明してくれる参考資料が登場するので、参考書を別途買わなくても教科書の中で全部解決できる。

 韓国では、デジタル教科書を2013年より全国で商用化することを目指している。その前の段階として、2011年から紙の教科書+CD-ROMが配られる。CD-ROMにはデジタル教科書が入っていて、学校の電子黒板や自宅のパソコンで利用できる。

 子ども一人にパソコン1台という状況ではまだないので、電子黒板にデジタル教科書を表示させ、マルチメディアを利用した授業を行う。今までは先生がデジタル教材サイトから動画を検索してオリジナル資料を作成して電子黒板に表示していた。デジタル教科書実証実験学校では、子ども達の理解を高めるためデジタル教科書に追加して、さらに先生と子どもたちが教材サイトで見つけた動画や写真を付け加えて発表したりして面白くインタラクティブに授業をしていた。先生と子どもたちが一緒になってマルチメディアを活用しさらにアレンジしている――。ここが韓国の教室で起こっている、面白いところではないだろうか。

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