「中3少女の新人賞取り消し、ネットから盗作」。この10月、こんな見出しのニュースが目に留まった。報道によると、秋田県在住の中学3年生が応募した詩の作品が、第19回「詩と思想」(土曜美術社出版販売)の新人賞に選ばれたが、この作品はインターネットからコピー・アンド・ペースト(以下、コピペ)した盗作だったという。この少女はほかの複数のコンクールでも盗作した詩で受賞しており、少女の保護者がそれぞれの主催団体に辞退を申し出たとのことだ。

 このニュースを見た多くの教育関係者は、おそらく「いつかは起こると思っていた」と感じたのではないか。何年も前から、大学生がレポートを提出するのにネットからコピペしているという問題が話題になっており、いずれ高校、中学、小学校と下がってくることは予想できたからだ。

大学生はレポートをコピペ

 今回、コピペ問題をネットで調べてみると、大学生向けにレポートや資料を売買するサイトや、コピペ判定支援ソフトなどが見つかった。なんと、コピペ問題は既にビジネスになっているのだ。しかし、レポートや論文は勉強や研究など自分のために書くものなのに、全く頭を使わないのでは意味がない。また、他人が書いたものを、何の努力もせずにコピーしていいわけがない。著作権法の私的利用に相当するか否かではなく、もっと単純に「ずるいでしょ」ということだ。知り合いの大学の先生に聞くと、ひどいコピペになると内容すら読み返さないのか、「ですます調」と「である調」が混在していたり、文章構成がめちゃくちゃだったりするものもあるらしい。

 大学のコピペ対策は、そんなに難しいことではないと思っている。コピペできない課題を教員が出せばよいのだ。学生のレポートをコピペ判定ソフトで判定したり、いちいち検索サイトで探したりしている教員の姿を想像すると、それが教員と学生の関係なのか? それが教員の仕事なのか? と少し悲しくなる。それより、今の時代に合わせて、課題の出し方を工夫すればよい。

 プレゼンテーション形式で発表させるとか、10人にインタビューしてまとめさせるとか。レポート形式なら「最初に結論を200文字で書く」「理由を 400文字以内で3つ書く」など、内容と文字数を決めたり、「自分の経験から書くこと」と指定したりするだけでも、単純なコピペはできなくなる。資料としてネットで調べるのは問題がないのだから、その資料を参考にして自分なりの考えでまとめることができれば十分だろう。ちょっとした工夫で大きな効果を上げられるのではないだろうか。

小中学生も感想文をコピペ

 小中学生に関しても、こうした問題は数年前から指摘されていた。検索サイトで探せば、フリーの読書感想文がたくさん見つかるのだ。

 サイトには、「学校に提出する場合に限りフリーで使える」、「コピペでパクるのもいい」、「少しアレンジしてオリジナルもどきにするのもOK」などと、夏休み終了3日前あたりに見ると、そそられる言葉が書いてある。

 インターネットの情報は、合法な限り止めることはできない。そこで求められるのが学校や親の教育だ。学校は判を押したように夏休みの宿題として読書感想文を出すが、読書感想文を書く意味を指導しているのだろうか。読書感想文を書く意味は、本を読む機会をつくることと、感じたことを文章にすることで考える力や表現力を育てることにある。

 また、文の組み立て方、表現方法など、書き方についても指導し、提出された感想文に対しては、認めるコメントを書いて返却しているだろうか。書く意味を感じない子は、簡単に終わらせることができる感想文サイトを利用したくなるだろう。家庭に対しても同じで、夏休みの宿題を一覧表にして出すだけでなく、その課題の意味もしっかり伝えるべきである。

 「インターネットと教育」というと、真っ先に「情報モラル教育」が思い付くが、ネットで被害者や加害者にならないことだけでなく、各教科の内容に関連した指導も必要になっているのだと感じている。そして、家庭でも繰り返し話してもらいたい。

出典:日経パソコン 2010年11月22日号
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