人類の歴史は文明の歴史である。もちろん、いろいろな種類があるが、成功した文明を研究すると、必ずある共通の(現実的に普遍的とも言える)テーマが明らかになる。成功した文明は成長していた(成長しなければ、我々はそれらが成功したとは考えないだろう)。そして、成長の過程で、その文明は生産したものをどんどん組織へつぎ込んで行く。そしてこれは線形の拡張ではない。つまり、成長による生産物のうち内部組織へつぎ込む分の割合がどんどん増える。

 これは組織が拡大して成長が鈍化するまで続く。残念ながら、組織の成長はそれを支える生産物が増加しなくなっても鈍化しない。最終的に、組織が増大しすぎて、何もできなくなって、その文明は崩壊する。この文明の崩壊はさまざまな形で起こりうるが、ここではその説明はしない。絵に描いたような例をいくつか思い浮かべることができるはずだ。

 西洋文明はすべてこの歴史をたどっている。それでも、たまに組織の構築者が生産物の急増に追いつけないことがある。これらは文明の歴史において極めて重要な出来事だ。西洋文明において最もよく知られている例は、新世界の発見、啓蒙思潮と産業革命の統合、産業革命の他のさまざまな様相、そして1980年ごろに始まったコンピューター革命だ。どの事例においても、急激な成長には、同時に自由な時期があった。また、すべての事例において、組織の構築者は最終的に追いついた。例えば、コンピューター革命は、経済的影響という点では、少なくとも産業革命の初期のいくつかの段階と同じぐらい大きな意味を持っていた。しかし、施政者や組織の構築者は格段に短い時間で追いついた。簡単な例を挙げると、カリフォルニア州は過去8年で公務員が4万人増えた。私の知人で、その時期に州のサービスが目に見えて向上したと考えている人は1人もいない。それは単なる組織の膨張であって、好景気の間はほとんど気づかなかった。

 私はもう一つの次の革命だと考えているものの背景としてこの例を出した。

 この新しい革命を何と名づければよいのかよく分からない。さまざまな名前が考えられるが、「コンピューター革命」のように分かりやすい名前ではない。(長年の読者は私がByte誌とByte誌の姉妹誌のPopular Computing誌の両方の主任コラムニストだった時、私のPopular Computing誌のコラムのタイトルが「コンピューター革命」だったのを覚えているだろう)。

 コンピューター革命は、確かに、西洋を中心に文明社会の多くの人々の生活様式を一変させたが、日本と東洋でも同様だ。雇用のパターンが変わった。雇用の性質そのものが変わった。巨大な企業の経営は簡素化され(そうなったように見えた)、大きな組織はさらに大きくなった。製造業は非常に効率化されたので、生産物は増えても製造業の雇用は急激に減少した。これはすでに半世紀前に農業で起こっていたことに注目すべきだ。はるかに少ない農場労働者がはるかに多くの食物を生産するようになった。コンピューター革命が製造業に同じ影響を与えるまでには時間がかかる。どちらのトレンドも続いて、逆行することはないだろう。

 新しい革命が一体どんな影響を生じるかは(少なくとも私には)分からない。簡単に予測できるものもある。よく分からないものもある。それでも、全体的な影響はコンピューター革命と同じくらい深遠なものだろう。漠然としているが、次の革命を構築する新技術についても漠然としか分からないのだ。

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