ソフトバンクが苦境にあるウィルコムの支援に乗り出すというニュースが先週ありました。実際には、両社とも否定していて、今のところそういう動きはないようです。ただ、新聞記事などを見るといかにもありそうな感じもします。ですが、筆者は、こういう動きはないだろうと思っています。

 まず、確認しておくべきなのは、ただちに問題が出るような状態にまで来ているわけではないということです。ウィルコムが事業再生実務者協会に事業再生ADR(産業活力再生特別措置法所定の特定認証紛争解決手続)の申請を行った時点で、銀行など関連金融機関との話し合いが付けば、債務返済期限の延長などによって財務体質の改善が図られるという段階です。当面のビジネスは継続します。

 さて、ソフトバンクによる支援の話が、現時点では、事実ではないのに説得力を持つのは、ソフトバンクがウィルコムの顧客を取り込むことで現在2位のauとの差をかなり縮められるということ。そしてデータ通信専用サービスをウィルコムのXGP(Willcom core XGP)で強化できるのではないかということ。この2点に妙に「説得力」があることが理由です。

 また、背景には、ソフトバンクは、データ通信サービスが手薄く、イー・モバイルと提携しているといったことがあります。これに対し、auは、UQコミュニケーションズに出資しており、NTTドコモは、2010年にはLTEサービスを開始する予定で、データ通信サービスを強化しています。

 確かに、ソフトバンクとウィルコムが一緒になれば、ユーザー数は増え、XGPでデータ通信を強化できます。ですが、LTEが目前に迫っており、必ずしもXGPを手に入れる必要はなく、また、その余裕もないというのが実際のところでしょう。ですので、筆者はソフトバンクモバイルがウィルコムを取り込む可能性は低いと考えているのです。

 auは、LTEも採用しますが、WiMAXを使ったデータ通信サービスを強化する方向にあり、WiMAXの対抗軸であるウィルコムのXGPをソフトバンクが持てば、これに対抗できそうな感じもあります。また、こうなるとNTTドコモだけがLTE以外の選択肢を持たず、何らかの対策を取る必要がありそう、という点で、面白そうな状況になる気がしないでもありません。

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