フィンランドのノキアが、Linuxを搭載した携帯電話「N900」を発表しました。このN900は、これまでノキアが出してきた「インターネットタブレット」の系列に属する製品です。インターネットタブレットは、Linuxを搭載したタッチパネル付きのマシンで、これまではBluetoothや無線LAN、WiMAXを搭載した製品がありましたが、携帯電話の通信機能は搭載していませんでした。

 2005年に同社最初のインターネットタブレット機の「N770」が発表されていますが、このときの位置づけは、携帯電話と組み合わせて使うデバイスというものでした。ですが、携帯電話のビジネスが中心であるノキアがLinuxディストリビューションであるMaemoに出資し、これまでずっとビジネスを維持してきたのは、携帯電話とLinuxの組み合わせにある種の「将来性」(あるいは恐怖のようなもの)を感じていたのだと思われます。当時、すでにLinuxを使った携帯電話は存在していました(2003年のモトローラの製品が最初だといわれています)。

 その後、携帯電話の高級機種プラットフォームは、ノキアが中心となるSymbian OS(日本ではシャープや富士通などが採用)、Linux系が中心となり、スマートフォン用としてはWindows Mobileの普及が始まりました。そもそもSymbianは、2001年にマイクロソフトの携帯電話分野への参入を受けて作られました。当時、携帯電話業界では、マイクロソフトの進出は、携帯電話のパソコン化につながるものとして、多くの事業者やメーカーが恐怖を抱いたのです。そこで作られたのが、英国のPDAメーカーであるPsionが開発した「Epoc」というオペレーティングシステムをベースにしたSymbian OSでした。Epocが選ばれたのは、Symbian OS立ち上げの中心となったEU圏企業から近い存在であったこと、また、スウェーデンEricssonが、Psionと携帯電話で共同開発していたからです。

 携帯電話業界でSymbian OSは、ある種の成功を収めます。というのも、マイクロソフト以外の多くの端末メーカーなどが参加・採用したからです。また、日本でも、NTTドコモの標準プラットフォーム「MOAP」の一部となりました。

 ただし、スマートフォン用としては、Symbian OSには少し厳しい状況がありました。複数企業が採用することを考え、GUI部分がOSから分離されていたのです。通常のアプリケーションは、ユーザーが操作を行うため、GUIへの依存度がかなり高くなります。ところが、GUIが分離されているということは、携帯電話メーカーごと、場合によっては機種別に別々のソフトウエアを供給しなければならなくなります。この点で、過去のソフトウエアが現在の機種でも動くWindows Mobileなどに比べて、開発者を集めるという意味では、不利な部分がありました。

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