イランの選挙前後の混乱をめぐって、ソーシャル・メディアの動きが活性化している。

 テヘランの路上で保守派の民兵組織に射撃された若い女性が息絶える映像は、中でもショッキングなものだった。この女性は、歌のレッスンからの帰り、反政府デモが開かれている場所からさほど遠くないところで渋滞に巻き込まれ、車内があまりに暑くて外に出たところを、近くの住宅の屋上から撃たれたものと見られている。

 道路に倒れた彼女を父親らが取り囲んで一命を取りとめようとするが、その甲斐もなく彼女は血にまみれて死んでいく。その様子を捉えたアマチュア・ビデオがアメリカやイギリスのメディア企業、国外のイラン人らに送信され、それが一気にネットで広がったのだ。

 イランは、国内でのYouTubeやFacebookの利用を禁止し、サイトをブロックしているため、イラン国内から直接投稿はできない。ビデオ画像は、まずは電子メールで送信され、受け取ったメディア企業や個人が動いて広まっていった。

 この若い女性ナダさんは、このビデオ画像によって、今やイランの反政府運動の象徴的存在にもなり、彼女が亡くなった道路は「ナダ通り」と呼ばれるようになっているという。人が痛々しく死んでいくのが、半ば興味本位にビデオで広まっていくことに危惧も感じるが、目にして初めてことの理不尽さを実感できるのも事実である。ただし、この動きを受け、今やテヘラン市内ではカメラを持ち歩くことすら危険になっているという。

 Twitterも、イラン国内の様子を刻々と伝えるメディアとして注目を集めている。Twitterサイトから「#iran」「#iranelection」「#nada」などと検索すると、ずらりとイラン選挙関連のTwitterが並んでいる。ロイターなどのニュースメディアも、リアルタイムで詳報を伝えるツールとして用いているようだ。リンクを追っていけば長い記事にたどり着くのだが、ともかく刻々と動きを知りたい場合は、Twitter のつぶやき風見出しを見ているだけで十分とも言える。

 Twitterに関しては、イランの選挙時にちょうど定期メンテナンス予定が入っていたが、アメリカの国務省の依頼によって延期したという動きもあった。イランと国交がなく大使館を置かないアメリカにとっては、Twitter上の投稿も大きな情報源になっているのだろうし、これで民主化運動が活発化されればしめたものだ。

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