もし本当に未来が分かる水晶の玉を持っていたら、私はあくせく働く必要はないだろう。しかし、いくつかかなり明白なことがある。私はこの話は前にした。だが、繰り返す価値はある。

 経済は回復するだろう。いろいろなツールがあり、仕事を変える柔軟性のある教養のある民衆がいる。しばらく時間はかかるだろう。そして激しいインフレーションを経験することになるだろう。財政赤字が最高額に達している時には誰もが救済措置を望むのだから、可能性はかなり高い。だが経済は回復するだろう。大切なのは、厳しい時期を乗り切ることだ。そのためには、現状を見極めることが重要だ。

 まず、我々のハードウエアは我々のソフトウエアよりずっと優れている。我々が今日持っている、あるいは買うことができるハードウエアで、それが今していることより格段に多くのことができる。我々のコンピューターにはいろいろなことが期待できる。これは、明らかにソフトウエア企業だけでなく、個人や小さなチームで働くプログラマーにとっても大きなチャンスである。もちろん、野心のある作家への私の最良のアドバイスが「ベストセラーを書け」というものであるのと同様に、「幅広い人気の得られるコンピューターのプログラムを書け。そうすれば、うまく行く」と言うのは簡単だ。問題は細かい点にある。

 私は、こういうプログラムを書きたいがどうすべきかと尋ねる多くの電子メールをプログラマーから受け取る。だが私はそれに答える根拠を持っていない。ちょうど編集者が何がよく売れるか分からないのと同じだ。このことに関して私が好きな例はStephen DonaldsonのThomas Covenanシリーズだ。何冊かはベストセラーになったが、私はDonaldsonが編集者にこう言っているのが目に浮かぶ。「実は、ハンセン病のアンチヒーローのシリーズを書きたいんです!」。たいていの編集者はしり込みしたが、Lester Del Rey(訳注:米国の著名な編集者)はそれを買った。Donaldsonを見捨てた編集者はみな自己嫌悪に陥った。

 言いかえれば、何が売れるかなど誰にも分からないのだ。私の最良のアドバイスは、よくよく考えよということだ。あなたのプログラムは、多くの人々が期待するような機能を持っているか?現実的に、それを書くのにコストはどれぐらいかかるか?失うチャンスのコストも含んでいるか?何かもっとよい仕事ができるのではないか?これを書くことでスキルを最新に保ち、有利な仕事のオファーがあったら、うまくやれるように準備しておくことができるだろうか?この後半の部分はかなり重要である。

 価値があると思うものを書こうとする場合は、知的財産に関する最新の本を調べること。O'Reilly出版が何冊か出版している。必ず最新のものを買うこと。2冊以上買う方がよい。そして注意深く読み通すこと。自分の製品が本当に価値があると思ったら、少し法的なアドバイスを得たいと考えるかもしれない。だが、警告しておくが、知的財産法は非常に複雑で、ほとんどの弁護士はそれに関してほとんど何も知らないだけでなく、困ったことに、彼らの多くは知っていると思い込んでいる。さらに悪いことに、知的財産法はどんな財産が保護されるかによって変わる。法的なアドバイスに代金を払う前にいろいろ調べること。

 作家が大手の出版者と仕事をしたがるのは、出版者が自分で思っているほど著作権法のことを知らなくても、その多くが実際にこれについて知っている人々につてがあるからだ。そしてそういう人々が必要になることが多い。著作権侵害(私が言っているのは、偶発的な著作権侵害ではなく、あなたの権利の実際の法的な窃盗のことだ)からあなた自身を守るのは簡単ではない。私が述べたように、それが著者の多くが大手の出版社と仕事をしたがる大きな理由だ。こうした大手の出版社はビジネスコストの一部として法務部を持っている。月並みな言い方だが、無法地帯に足を踏み入れるようなものだ。だが、月並みなことがらの多くは真実から生まれる。そしてそれはほぼ間違いなく真実だ。

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