中学3年生の隆二さんは、あるときケータイ携帯にメールが届いていることに気がつきました。メールはアダルトサイトの広告メールでした。「また広告か」と削除しようと思いましたが、ちょっと見てみたい気持ちもあったので、メール本文にあったURLをクリックしました。
 サイトにつながったところ、とつぜん「入会ありがとうございました! 3日以内に入会金3万円をお振り込みください」と表示されました。隆二さんは怖くなりましたが、アダルトサイトのことだったので親にも相談できず、どうしていいか困ってしまいました。

解説

ワンクリックサギとは?

 隆二さんが受けた被害は、ワンクリックサギです。不当請求ともいわれ、アクセスしただけで会員に登録されて、業者は入会金や利用料を請求してきます。架空請求との一番のちがいは、架空請求は身におぼえがない請求でしたが、ワンクリックサギはこちらからクリックしてアクセスしていることです。そのために、払わなければならないと思いこませる悪質なサギです。払えばもう請求が来なくなると考えて払ってしまう被害も多くなっています。

ワンクリックサギの仕組み

 メール本文にあるURLにはしかけがあって、URLの最後に意味のわからない文字列が並んでいます。この文字列は一人一人変えてあり、たとえば、Aというメールアドレスに送ったメールには101という文字列をつけておきます。アクセスすると、この文字列が相手に送信されます。すると、101がもどってきたからAのメールアドレスだと特定されて、請求のメールが送信されるというわけです。

 なお、携帯電話の番号で送れるショートメールなどでは電話番号が送信されてしまうので、請求は電話で行われます。これはとても怖い思いをすることになるので、着信制限をするなど電話を受けないようにしておきます。

ワンクリックサギは無効な契約

 インターネットでは、うっかりボタンをクリックしたり、ちがうボタンをクリックしたりすることがあります。そのミスから消費者を防ぐために「電子消費者契約法」という法律があり、インターネットでの契約について、業者に次のようなことを義務づけています。

(1)「このボタンを押すと購入になります」などと、購入する前に消費者がわかるようにすること。
(2)最終的な申し込み画面で申し込み内容を表示して、そこで訂正やキャンセルができるようにすること。

 では、ワンクリックサギではどうでしょうか。メニューや画像をクリックしたとたんに登録されて、(1)の確認画面も(2)の最終確認もされません。したがって、この契約は無効になります。もちろん支払う必要もありません。最近の手口では「利用規約」を設置して、そこに「クリックすると登録され、料金が発生します」などと書かれていることがあります。しかし、電子消費者契約法が優先されますので、利用規約にどう書かれていても関係ありません。

被害を受けないために

 ここまで読んでもらえれば、もうわかりますね。うっかりアクセスして請求されても、完全に無視することです。「IPアドレスからプロバイダーに問い合わせて住所を聞き出す」などとおどされても心配はいりません。プロバイダーはサギの犯人はもちろん、一般の人が問い合わせても、会員の個人情報を教えることはありません。サギの犯人もそれはわかっているのでプロバイダーに問い合わせることもありません。

保護者の方へ

子どものサインを見逃さない親子関係を

 今、ワンクリックサギの被害が中高生に広がっています。とくにアダルト系の請求はだれにも相談できなくて困っています。子どもが困ったときに相談できる親子関係が一番大切です。日ごろから親子のコミュニケーションを密にできていれば、お子さんから言えなくてもサインをキャッチできると思います。