前回触れた、Microsoftとインターネット広告について、もう少し付け加えておこうと思う。

 私の考えではYahooのCEOであるJerry Wangが極めて頑迷だった(何がそうさせているのか知らないが)ために、Microsoftが身を引くことを可能にしたのだと思う。Microsoftがインターネット広告収入ビジネスに参入したいなら、それを開発するためのプログラムコードを書くという同社の中核的競争力を利用するというもっとよい方法がある。Redmond(Microsoft本社があるところ)は自社のテリトリーでGoogleと戦う必要はない。正面衝突が戦争においてよいアイデアであったことも、よい理由になったこともほとんどない。

 これからのことを考えるうえで確かなことは、コンピューター産業のハードウェア基盤全体が変わっていくということだ。マルチコアチップは安く、さらにどんどん安くなっている。ハードウエアが提供できる処理能力と、ソフトウエアが要求する処理能力のバランスはさらに傾き、最良のソフトウエアでもハードウエアを使い切れないほどになる可能性があり、その傾向は続くだろう。もっと言えば、機能豊富なアプリケーションがハードウエア能力を活用するのを見せ付けるにつれ、ユーザーはコンピューターで何ができるかをはっきり認識できるようになる。そして、自分たちのOSと標準アプリケーションの性能にますます不満を募らせるようになるだろう。「今のコンピューターでこんなことまでできるようになっているのに、なぜ私のメールをダウンロードする時、Outlookは毎度毎度ぎくしゃくするのだろうか?」

 これは将来の競争の重要な根拠だ。誰が勝つにしろ、インターネット広告収入の競争に参入することはできるだろう。逆は必ずしも真実ではない。つまり、インターネット広告からの多大な収入源を手にしたからといって、必ずしもよりよいアプリケーションやOSを提供する能力が身に付くわけではない。とはいっても、よりよいOSやアプリケーションの構築へその収入を投資するかもしれない。Appleはそうしたようだ。

 ムーアの法則は厳然たるものであるだけでなく、指数関数的な成長に言及していることを我々はよく知っている。64KBのメモリーを備えたシステムの能力を2倍にすることはその当時はとても重要なことに思われた。当時は厳しいメモリーの制限があった。128Kバイトの8インチのフロッピーディスクの容量が2倍になって、多少不便な点が解消した。だが、今はディスク記憶装置がほとんど無制限という段階になっており、書き込み/読み出し処理の帯域幅が制限要因になっている。もっと列挙することができるが、要点は分かったのではないだろうか?

 今日、我々全てが買えるハードウエアにとって「十分によい」ソフトウエアは、アプリケーションにもOSにもない。5年以内に、我々が現在作動させているプログラムは、馬鹿らしいほど遅く、限界があるように思えるようになるだろう。それを認識している企業が大勝するだろう。そう私は予想する。

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