(編集部注:本稿は2008年5月上旬に執筆されました)

 金融関連紙の大ニュース(コンピューター関連のマスコミにおいてもそうだが)は、MicrosoftとYahooの複雑な駆け引きだ。一方でGoogleが密かに糸を引いている。もちろん、Microsoftが実際に意識している敵はGoogleだ。また、バルマーの強迫観念を駆り立てているのは、Googleの次の一手への恐れである。Microsoftは、GoogleがMicrosoftの中核領域で優位に立つことがないよう、積極的に対抗しなければならないと考えている。しかしながら結局、Microsoftは、Googleの提案の一つに対応して、最終提案を取り下げた(参考記事:「マイクロソフト、ヤフーの買収を断念」)。

 結果は予測可能だった。そしてYahoo株に20ドルで買い注文を出し、24ドルで売り注文を出していたあらゆるデイトレーダーは、月曜日(編集部注:買収を断念したと発表した5月3日の直前の4月28日のこと)にかなりの額の利益を出すことができた。かなりの金額だったようだ。Yahoo株が20ドルになると、売り注文は急増し、24~25ドルでさらにまたその数を増した。もちろん、デイトレーディングは非常に危険なビジネスなので、私は勧めない。しかし、Microsoftの提案が停止された後のYahooの急落は容易に予測できた。だが、Yahooが自社の株はMicrosoftが提示した32ドルほどより価値があると主張したことにより、再び価格を押し上げた。

 Googleの役割に関しては、スティーブ・バルマーのYahoo宛ての手紙で長々と語られていた。Googleは、Googleの検索広告を扱うという契約をYahooに申し出た。Yahooから見れば、これはよい取引かもしれない。一方、それがYahooのかなりの収入源になるとすれば、YahooをMicrosoftが買収する魅力は格段に低下する。

 こうした駆け引きはこの先も続くだろう。だから、恐らくこれが最後の動きということにはならない。

Yahoo買収はあきらめるべきだ

 私個人の意見はこうだ。もはやこの買収は継続すべきでない。Microsoftが取り引きに背を向けた理由の一つは、バルマーが社内に意見の不一致があることに気づいたことだ。Microsoftの天才軍団の多くはYahoo買収を望んでいないばかりか、そもそもインターネットの広告収入に熱意を持っていない。彼らは、Microsoftはコードを売るソフトウエア会社であって、同社はそれに最良の才能を投入すべきであり、インターネット広告が儲かるからというだけで、それによる収入を追い求めるべきではないと主張している。たとえば、高級皮革製品は儲かっているのだから(コーチの株価は4年で10ドルから50ドルになった)、なぜ、財布製品を試さないのだろうか? 過去の実績を考えれば、Microsoftはインターネット広告で儲けることを知っているのと同じぐらい最新ファッションと皮革製品に関して知ることはできただろう。

 ここで問題になるのは、成長の無限の追求だ。適正で継続的な利益を得るだけではもはや十分ではない。皆が望むような高い株価収益率(PER)を保持するためには、たとえ成長により利ざやが低くなっても成長し続けなければならない。今日の経済環境では、一つの事業を立ち上げ、そのビジネスを首尾よく進めていくだけでは、もはや十分ではないのだ。

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