世界中がiPhone 3Gの発売で盛り上がっているこの頃、携帯電話の普及率が91%近いモバイル大国の一つ韓国では、なぜかいまだiPhoneの発売ニュースが届かない。7月11日から販売開始となる22カ国にも、年内発売可能となっている70カ国の中にも入っていない。キャリアのKTFから発売されるのではないか、iPhoneが発売されたらキャリアのシェアが変わるかもしれないほどインパクトがあるだろう、などなど噂ばかり飛び交っている。

 韓国でのiPhone発売に関してアップルの公式の立場はノーコメントである。しかし韓国ではほとんどの専門家が「WIPI(Wireless Internet Platform for Interoperability)」のせいではないかとみている。WIPIは2001年に韓国が国策事業として開発したモバイルインターネットの標準プラットフォームである。それ以前までも韓国のキャリアはそれぞれ違うプラットフォームを採用していたため、CP(Contents Provider)は3種類のモバイルコンテンツを制作しなくてはならないという不便があった。これをなくし、モバイルインターネットを活性化させるために導入されたのでがWIPIで、モバイルインターネットが使える携帯電話は搭載が義務づけられている。

 iPhoneも韓国で端末を販売するためにはWIPIを搭載しなくてはならないが、韓国のためだけにアップルが端末の仕様を変えるような面倒なことをするだろうか。しかしキャリアの立場としては一日でも早くiPhoneを販売したいので、費用を肩代わりするか、通話料のレべニューシェアをもっと積んであげるとか、そういう契約をしてでも持ってくるのではないかと見られている。

 韓国で発売予定はないとしても、iPhone 3Gは韓国にとって重要なニュースである。iPhoneのせいで世界市場でシェアを伸ばしているサムスン電子やLG電子の携帯電話のシェアが減るのではないかという予測が米国では登場しているからだ。米国の市場調査機関SA(Strategy Analytics)が2008年4月に調査した資料によると、2008年1~3月の世界の携帯電話市場シェアはサムスン電子が16.4%で2位、LG電子が8.6%で4位となっている。サムスン電子はモトローラを追い越し、LG電子もソニーエリクソンを抜いて4位になった。世界でも韓国でも両社のタッチパネル携帯電話がよく売れたおかげだ。

 特にサムスン電子は「Haptic」といって、タッチすると端末がぶるぶる震えたり、電話をかけた相手のバイオリズムに合わせた振動が着信音の代わりになったり、端末を傾けたり動かすことで写真をめくったり、データを見たり、ゲームもできる触感機能を強調したタッチフォンが人気を集めている。

 iPhoneとの競争で特に注目されているのは価格戦略への影響だ。iPhone 3Gはとにかく値段が安い。2年加入という条件付きではあるが、アメリカで199ドルで販売される。日本でも8GBが2万3040円から、16GBが3万4560円からと割安感がある。サムスン電子やLG電子の携帯電話は前述したとおり機能も充実しているし、デザインもいいことは認めるが、600~800ドルはする高級端末が中心である。ブランド価値を高めるため、あえて安い端末は売らないというのが韓国メーカーの携帯電話販売戦略だったが、iPhone 3Gに市場を食われないためには、価格競争でも負けない端末を販売しなくてはいけない。

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