「矜恃」という言葉がある。難しい熟語だ。「恃」という漢字自体も難しいので「矜持」と当ることもある。読みは「きょうじ」が正しいが「きんじ」と読まれることもある。意味は、大辞林を引くと「自信と誇り。自信や誇りを持って、堂々と振る舞うこと」とあり、用例に「学生としての矜恃を持て」とある。

 「矜恃」という言葉はだいたい意味は知っていても自分では使わない。使うとちょっと偉そうな感じがするかもしれないが、困ったことにどういう文脈で使う言葉なのかよくわからない。辞書的には、肯定的な意味合いが感じられるが、否定的に使われることはないのだろうか。難しい言葉なのでそういう語感が持ちづらい。
 「人口に膾炙」(じんこうにかいしゃ)する、といった言い回しも難しい。辞書で「広く人々の口の端にのぼってもてはやされる」とあっても、やはり使われている文脈がないとしっくりこないものだ。

 こうした難しい、ちょっと古い言い回しの用例を探るときには、Googleで青空文庫を検索するといい。青空文庫は、著作権が切れた日本語の名文が多く蓄積されているので、古い言い回しの用例がよくわかる。

 「矜恃」だったら次のように、用語をダブルクオートで囲み、site:www.aozora.gr.jpとする。site:は、青空文庫のサイトの指定だ。

"矜恃" site:www.aozora.gr.jp

「矜恃」という言葉の用例を青空文庫で検索してみた。文豪による用例が見つかる
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 「人口に膾炙」だとこうなる。

"人口に膾炙" site:www.aozora.gr.jp - Google 検索

 「好事魔多し」とかどういうふうに使われているのかな、というときはこう。
 
 "好事魔多し" site:www.aozora.gr.jp - Google 検索

 検索してみるとそれほどたくさん用例が出てくるわけではないし、名文とはいえ辞書的には間違った用例が見つかることもある。それでも日本語の文章のありかたを考えさせられることが多い。