間もなく、60GHz帯という高い周波数を使った新しい通信方式「IEEE 802.11ad」が登場する。通信速度は通常の仕様で約1Gbps。拡張仕様を使うと最大6.8Gbpsになる。規格の策定は2012年内の見込み。

 周波数が高いと、障害物や壁で電波が減衰しやすい。そのため、同じ室内で家電や周辺機器を高速につなぐといった用途が考えられる。通信距離は見通しの良い場所で30m程度となる。隣の家などからの混信は少ない。

 一般に、電波の周波数が高いほど電波の制御は技術的に難しくなる。そのため、無線LANよりも広い周波数帯を用意して通信を安定化しやすくしている(図1)。一方で壁などによる反射波の影響を受けづらいことから「シンボル(一単位の電波を送信する時間)を短くできる」(NTT 未来ねっと研究所の浅井氏)。この特性を利用して高速化を実現する。

 11adの通信技術を取り入れた「WiGig」という規格もある。一部海外メーカーはWiGig仕様の無線ステーションを開発している(図2)。

●無線LANよりも広い周波数幅で通信
図1 無線LANで使われている2.4GHz帯や5GHz帯と比べて、60GHz帯は広い周波数の幅が確保されている。国内の法令による電波の割り当ては既に完了済みで、対応機器さえあればユーザーが自由に利用できる状態となっている
[画像のクリックで拡大表示]

●専用ステーションで周辺機器をまとめて無線化
図2 IEEE 802.11ad方式の技術を使ったWiGigの製品としては、パソコンと周辺機器を接続する無線ステーションなどの登場が見込まれている
[画像のクリックで拡大表示]

話題となったあの通信方式は?

 一時期は話題になったものの、広く普及するには至っていない無線方式がある。例えば、米インテルが提唱した「WiDi(ワイヤレス・ディスプレイ)」。無線LANの通信を使い、パソコンの画面をテレビに映し出す。2011年に周辺機器メーカーが専用アダプターを発売した。WiDiの要件である、インテルのCPUや無線LANチップを搭載したパソコンの対応製品も増えつつある。ただ、専用アダプターを別途購入する必要があり、表示に遅延が目立つことなどが普及の妨げとなっている。

 2006年には周辺機器とのUSB接続を無線化する「ワイヤレスUSB」、2008年にはテレビとDVDレコーダーなどの家電を無線接続する「ワイヤレスHD」という規格に対応した製品が登場した。これらの規格も今のところ普及したとは言えない状況にある。

[画像のクリックで拡大表示]

出典:日経パソコン 2012年4月23日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。