楽しさと理解力が向上、タブレットが授業を変える

 電源ボタンを押せば即座に起動。インターネットのWebページや各種の教育コンテンツに自由自在にアクセスでき、紙のノートのようにペンや指で手書きの入力もできる。タッチパネルを搭載したタブレット端末の導入が教育機関で広がっている。小学校から大学まで幅広い教育機関が採用しており、より楽しく分かりやすい授業を提供する、あるいは自主的な学習につなげるためのツールとして利用されている。

 小中学校におけるタブレット導入をけん引しているのが総務省。同省は、文部科学省と連携しながら、小中学校など20校にタブレットPCを導入する「フューチャースクール推進事業」を実施している。

 全ての児童・生徒に1台ずつタブレットPCを配布して、教室には無線LANのアクセスポイントや電子黒板を設置する。教員はそれらの機器を活用し、新しい授業の在り方を模索する。総務省はハードウエアや通信環境、文部科学省は教育用コンテンツなどソフトウエアの効果を検証し、ITを活用した次世代の学校教育を目指す(図1)。

 2010年度には、フューチャースクールの実証校として、東日本と西日本でそれぞれ5校の小学校を選出。2011年度には、中学校8校と特別支援学校2校を追加している。

●タブレットの効果や課題を検証する国のプロジェクト
図1 総務省と文部科学省は連携して、タブレットPCの効果や課題などを調べる実証授業を全国の小中学校などで実施している
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低学年でも操作できる

 パソコンではなく、タブレットPCを採用した理由は、キー操作に慣れていない小学校低学年の児童でも手書きで文字が入力できること。タブレットPCの専用ペンで手書きを繰り返すことで、文字を覚えるなど、教育上の効果も高まる。デジタル教材や資料の重要な部分に線を引く、丸を付けるといった記録も残せる。

 例えば、フューチャースクールに参加した大阪府箕面市立萱野小学校では、社会科の授業で、周辺の資料館やインターネット上で児童が調べたことをタブレットPCの画面上にペンで入力。成果を電子黒板に表示し、ほかの児童との違いを見比べる授業を展開している。

 タブレットPCや電子黒板を導入することで、「児童の集中力や関心が高まり、教員がICTを活用して指導する力も確実に高まる」(フューチャースクール推進事業の研究会で座長を務める東京工業大学の清水康敬監事・名誉教授)という成果も見えてきている。

 総務省は2010年度に全国の46小学校でタブレットPCや電子黒板の整備を進める「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」も立ち上げた。熊本県の人吉市立中原小学校では、算数の授業で画面上に表示された図形をペンで動かしながら面積の計算方法を調べる、内蔵カメラを使って理科の実験を撮影するといった使い方をしている(図2)。

図2 人吉市立中原小学校では教育機関向けに開発された東芝のタブレットPCを導入。理科実験の様子を動画で撮影し、電子黒板で観察するといった使い方をしている
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