ユーザーに「重い」「遅い」とよく言われたWindows Vistaに比べると、Windows 7の起動速度はかなり改善している。しかし、タブレット端末で競合となるAndroidやiPadなどと比べるとまだ起動が遅い。そこでWindows 8は、この弱点を克服するための「ハイブリッドブート」という高速起動モードを搭載した。

 Windows 7では、作業を終了するときに「シャットダウン」「スリープ」「休止状態」の3通りが選べた。ハイブリッドブートは、このうちシャットダウンと休止状態の“いいとこ取り”を目指した起動方式だ。その理解のために、まず従来の終了方法を簡単におさらいしておこう。

 完全に電源を切った状態からパソコンを起動すると、ハードディスクからメモリーにWindowsの基幹部分(カーネル)や各種のサービス、周辺機器のドライバーなどが読み込まれる。ログオン後にアプリを起動すれば、それもメモリーに保持される。

 Windows 7でマイクロソフトが推奨していた終了方法はスリープ。これは、メモリーに通電してデータを保持しながら、そのほかの装置の電源を切ることで消費電力を抑える。電源を入れればすぐに復帰できるのがメリットだ。しかし、わずかに電力を消費するため、特にノートパソコンでは使いにくかった。

 一方、休止状態は、終了前にメモリーの内容をハードディスクに「休止状態ファイル」として記録。その後全ての電源を切るので、電力を消費しない。そして起動するときは休止状態ファイルをメモリーに読み込むだけなので、シャットダウンからの起動よりは時間を短縮できた。

 ところがマイクロソフトの調査では、ノートパソコンで休止状態を使う人はわずか11%と少なかった。これは、「シャットダウンをしないとパソコンが不安定になる」と考える人が多かったからだ。実際、スリープや休止状態だけを使い続け、全くシャットダウンをしないと、周辺機器のドライバーが初期化されないため、不安定になることがある。

 この問題を解決するのがハイブリッドブートだ。休止状態並みの起動時間を確保しつつ、不安定にならないようにする。具体的には、Windowsのカーネル部分だけを休止状態ファイルとして保存してから電源を切る。ドライバーやユーザー環境などは保存しないので、休止状態ファイルの●従来のシャットダウンと休止状態は設定変更で呼び出す容量が小さくなるのも利点だ(図1)。この状態からパソコンを起動すると、BIOSの初期化などの前処理をした後、休止状態ファイルを読み込み、その後ドライバーの初期化が行われる。これで完全にシャットダウンしたときよりも速く、しかも安定した状態で起動できる(図2)。

●「休止状態」と「シャットダウン」の“いいとこ取り”
図1 ハイブリッドブートは、従来のシャットダウンと休止状態の特徴を併せ持つ方式。Windowsの基幹部分(カーネル)だけを休止状態ファイルとしてハードディスクに保存する。このため、従来の休止状態より少し速く終了できるメリットもある
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図2 通常の起動処理では、Windowsのカーネルやサービス、周辺機器のドライバーなどを初期化して呼び出すため、時間がかかる。ハイブリッドブートでは、カーネルの初期化の代わりに休止状態ファイルを読み込むだけなので高速に起動できる。それでもドライバーは初期化するので、休止状態よりも動作が安定する
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