処理性能や機能の不満は、少額の投資と手を加えることで延命できる場合がある。その作業をする時間がなければ、しばらく我慢して使い続けることも可能だ。

 一方、パソコンの故障はそうはいかない。日常生活にパソコンが不可欠になった今、故障に直面したユーザーは「修理する」か「買い直す」かの選択を迫られる。

 そこでここでは、パソコンを構成するハード/ソフトの寿命に関する必須知識を解説する。

HDDの寿命は5年程度

 今回実施したアンケートで、「故障したため買い替えた」と答えた424人に故障箇所を訪ねたところ、壊れた部品のワースト1位は「HDD」だった(図1)。

【ノートや液晶一体型は、ユーザー自身が部品交換することは難しい】
図1 本誌で独自に調査した結果、故障しやすい部品のワースト3は「HDD」「マザーボード」「液晶」だった
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 HDDは、パソコンを構成するパーツ類の中では故障頻度の高い部品とされており、アンケート結果はそれを裏付ける形となった。メーカーは「約5年間利用することを想定して設計している」(日立グローバルストレージテクノロジーズ)が、高温や多湿、衝撃など過酷な条件下ではさらに寿命が縮まる。

 例えば、HDDのヘッドがデータを読み書きしている最中に強い衝撃を与えると、プラッター(円盤)の表面に傷が付いてデータが読み出せなくなることがある。こうしたトラブルを未然に防ぐため、一部のモバイルノートは衝撃が加わった際にヘッドを待避させる機構を備えたHDDを装備しているが、大半のパソコンは衝撃に弱い。

 ワースト2位はマザーボード。CPUやメモリーなど全ての部品を装着・接続する基板だ。そのため実装されているICチップの数は他の部品と比べ群を抜いて多い。故障率が高いのは、たった1つでもチップが故障するとマザーボードを丸ごと交換するのが一般的なためだ。パソコン上で大量の液体をこぼしたり、USB端子の金属製の接点を折ってしまった場合なども、マザーボードごと交換になってしまう場合がある。

 3番目に故障頻度が高かったのが液晶ディスプレイだ。画面の一部が黒ずんだり、縦線やちらつきが生じたりする。全く映らなくなることはまれで、その場合は内部ケーブルの断線が疑われる。

 これら3つの部品のうち、HDDはユーザー自身で交換できる場合がある(「機能の限界を知り、延命も試してみる」を参照)。一方、マザーボードやノート用の液晶はユーザー自身で交換することは難しく、メーカーの保守サービスを利用することになる。

 保証期間内に通常環境で自然に故障した場合は、無償で直してもらえる。迷うことなく修理に出せばよい。問題となるのは、ユーザーの過失で壊したり、保証期間が過ぎたりしている場合だ。

 図2に、2008年モデル「VAIO type C(VGN-CS50B)」の修理費用の実例を示す。パソコン上にジュースをこぼしてしまい、その修理にかかった費用の明細である。請求総額は3万1605円。内訳は「キーボードユニット」が3500円、パームレストが1万1600円、技術料が1万5000円である。

【ちょっとした不注意でも3万円の出費に】
図2 2008年モデル「VAIO type C」(ソニー)の修理費用の例。誤ってジュースをこぼしてしまいキーボードやパームレストのユニットを交換したところ、3万円を超える修理費用が発生した
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 このパソコンの持ち主は、ちょっとした不注意で3万円強も支払うこととなった。VGN-CS50Bの発売直後の実勢価格は10万円台前半。購入後2年たっていることもあり、「もし修理費用が5万円を超すようなら、修理せずに買い替えていた」(所有者)という。

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