2007年11月、プリンター業界が注目する2つの判決が下った。どちらも、使用済みのインクカートリッジにインクを再充填(てん)したリサイクルインクを巡っての裁判である。一つは、キヤノンがリサイクル業者のリサイクル・アシストを特許侵害で訴えていた裁判。この裁判では、キヤノンの勝訴が確定した。もう一つは、セイコーエプソンが、同じくリサイクル業者のエコリカを特許侵害で訴えていた裁判。こちらは特許無効との判決で、エコリカの勝訴となった。

 これらの裁判の争点は、キヤノンとエプソンが保持するインクカートリッジの特許を、リサイクルメーカーが侵害したかどうか。キヤノンの裁判では、使用済みインクカートリッジの内部を洗浄してインクを再充填する行為が、インクカートリッジの製造方法の特許侵害になると認定。一方のエプソンの裁判では、エプソンが保有するインクカートリッジの仕組みに関する特許に、新規性がないとして無効と判断された。

 何故、リサイクルインクの問題が特許紛争として裁かれているのか。この問題の真相を知るには、リサイクル業者のビジネスモデルを理解する必要がある。

【量販店を経由してリサイクルされる仕組み】
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 リサイクル業者は、まず量販店などに使用済みインクカートリッジの回収箱を設置。この箱で集めたカートリッジを、量販店から1個10~20円程度で買い取る。業者は、それにインクを再充填し、再び量販店などで販売する。当然、価格は純正品よりも安くしている。加えて、リサイクル業者は「環境にやさしい」ことを声高々にうたう。インクを使い切っても、カートリッジ自体は消耗しない。1回きりで捨ててしまうのはもったいないし、使い捨ては環境にやさしくないというのだ。

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