仕事柄、営業や取材などで初めてご来訪いただくお客様が多い。しかしネット時代の昨今、初対面の人と交わす話の深さや親しみの度合いが二極化している。片や、私の経営理念から近況に至るまでわが社の社員以上に詳しい人がいる。かと思えば、事前にネットで全く予習をしてこない困った人もいる。今や初対面の人はもちろん慣れ親しんだ人に会うときでさえ、ネットで事前調査することが新しい常識なのだ。

1.ググらずに会うは無礼千万

 Googleで面談予定の団体名や人名を検索すれば(ググれば)、たちどころに貴重な情報が得られる。無名だと思ったのに驚くほどの件数がヒットする場合もあれば、その逆もある。会社の公式サイト以外にネット通販店やブログポータルなど関連サイトが見つかる場合も多い。特に注目はマスメディアやクチコミサイトなどでの評判だ。ググって得られる情報を見ずに会うのは、もはや無礼であると同時に危険なことだ。

2.人と語るならブログは必読

 さらに経営者や担当者のブログが見つかる場合も増えてきた。そのときはプロフィールと最近の記事には必ず目を通しておきたい。多くのブロガーは会社のことを褒められるより、自分のブログを評価される方がうれしいものだ。

 昨今はミクシィなどのSNSに参加している人も多い。ここでも念のため先方の名前で検索してみよう。もし見つかれば、ブログ以上に個人的な趣味や交友関係などが明らかになろう。

3.不明な専門用語はウィキして臨む

 異業種の方や専門家との面談前にWebサイトやブログを見ると、耳慣れない専門用語にぶつかることが多い。

 そんなときもネットで立ちどころに調べられる。最近は、みんなで作るネット辞書のWikipedia(ウィキペディア)が便利だ。ググるだけではなく同辞書を活用すれば、詳しい情報が簡単に得られる可能性も高い。逆に、調べていないとは怠慢とそしられても仕方ない。

4.ネットを過信せず深層を聞け

 とはいえ、ネットで調べれば何もかも深く分かるほど世の中は甘くない。ネットに渦巻く情報は玉石混交で真贋の見極めも難しい。加えて、大切な知見をあえてネットで公表していない人も多い。だからこそ実際に会いに行く意味があるし、直接尋ねる価値がある。

 ネットを通じて十分な下調べをした上で、お会いした相手が思わずうなるような「良い質問」をしたいものだ。関心を持って入念な事前準備をしてきたことが、質問一つで相手に伝わる。

5.「ブログを見て」はアポ取りの王道

 面識のない方に対する「面談のお約束」のメールや電話は難しい。しかし、その冒頭で「先日のブログで○◯の記事に感銘を受けた者です」と添えれば第一印象が変わるはずだ。

 同様に、初めてお会いして名刺交換をするときにも「ひとこと」を添えたい。例えば、昨日一昨日のブログにあった心に残る一言などを引用すれば、相手に熱意と敬意が伝わるだろう。

6.一番ヒットした人が第一人者

 近い将来、会う前にググる、ウィキするという新作法が「当たり前の習慣」として広まる日が来よう。そうなると人気を集める人も変わってくるはずだ。当然ながら、ググってウィキした結果、そのジャンルのネット発信量と質で最も目立った人に人気が集まる。

 例えば、あるジャンルの達人に会うため、下準備で検索した結果、もっと詳しい人が見つかる場合もあろう。そんなときは、偶然(いや必然か)見つかったもう一人の達人にも会いたくなり、親しくなりたいと思うはずだ。

7.スパイラル効果でトップに立てる

 すなわち、これからはネットで一芸ならぬ一見識に秀でた人に「人も情報も集まる」ことになる。だからこそ、商品やサービスの種別にかかわらず、そのジャンルで一番詳しい人になるべく不断の努力を重ねることが大切だ。

 これからのコーポレートアイデンティティーは、ググってウィキした際にどれだけ豊富で上質な情報もしくは達人が目にとまるかの勝負になるだろう。

出典:日経パソコン 2007年10月8日号
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