PCの高性能化、高機能化、小型化に伴い、CPUやチップセットなどから発生する熱をいかに効果的に逃がすかが課題となっている。放熱材料(Thermal Interface Material、TIM)はCPUなどの発熱体とヒートシンクの間に置かれ、発生した熱を効果的に冷却システム(ヒートシンクなど)に伝える役割を担う。TIMには、グリス、エラストマー(弾性のある高分子物質)シート、RTV(Room Temperature Vulcanization、室温硬化型のゴム)、ゲル、フェイズチェンジシート(温度により相変化する放熱材料を用いたシート、PCS)など様々な性状の材料があり、目的や場所、設置方法等により使い分けられている。

シリコーン放熱材の特徴と放熱材料の種類

 シリコーンポリマーは、ケイ素(Si)と酸素(O)が交互に結合してポリマー(高分子)が形成された「シロキサン結合」と呼ぶ構造を主骨格としている。その結合エネルギーが通常のポリマーの主骨格である「炭素結合」より大きいことから、非常に安定した構造となっている。シリコーンは他の有機ポリマーに比べ、優れた耐熱性や耐寒性、電気絶縁性、化学安定性を有し、また充てん剤に対する濡れ性(熱伝導性の充てん剤を適正に濡らすことができる性質)も高い。そのため、シリコーンは、大量の熱伝導性の粉(フィラー)を練り込むためのポリマー基材(バインダー)として非常に優れた材料といえる。

 シリコーンポリマー自体の熱伝導率は0.16W/mKと非常に小さい。そのため、放熱材料として使用するには、熱伝導性フィラーの高充てんが必要不可欠となる。こうした高熱伝導性フィラーにはセラミックスの一種であるアルミナ(酸化アルミニウム)や酸化亜鉛、窒化アルミ二ウム、窒化ホウ素といった高熱伝導率の無機粉や、アルミ二ウムや銀、銅などの金属粉を使用する。

 シリコーンTIMは、形状で分けるとシート状とペースト状に大別される。シート状成型物には硬化状態で装着し、そのまま使用する「エラストマーシート」と、熱軟化タイプの「フェイズチェンジシート(PCS)」がある。ペースト状組成物にはペーストのまま装着して使用する「放熱グリス」と、ペーストとして装着し組み立て後に加硫(添加した加硫剤によりシリコーンポリマー同士の橋架けをすること)してエラストマー状またはゲル状となる「放熱RTV」などの材料がある(表1)。これらのうち、PCユーザーにとって最もなじみ深いTIMはグリスもしくはPCSである。その塗り方、貼り方を図1にまとめた。

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