Webサイトに貼られた画像やリンクをクリックするだけで架空の料金を請求される「ワンクリック詐欺」。その被害はとどまるところを知りません。セキュリティに関する相談や被害届けを受け付けている情報処理推進機構(IPA)には、2005年10月以降、ワンクリック詐欺に関する相談が毎月100件以上寄せられています。2007年12月には、過去最多の287件の相談が寄せられたそうです。

 ワンクリック詐欺サイトのほとんどはアダルト系。「アダルト画像や動画を無料でご覧いただけます」などと書かれたリンクやアイコンをクリックすると、料金請求の画面が表示されます。そして、「支払わないと、法的に訴えます」「(女性の画像を記載した)督促のはがきを勤務先に送ります」などと脅して、架空の料金を請求します。

 こういった詐欺サイトの入り口になっているのは、ほとんどの場合、迷惑メール(スパム)。「アダルトコンテンツをタダで閲覧できます」などと記述されたメール中のリンクをクリックすると、詐欺サイトに誘導されてしまいます。

 ただ、最近ではアダルトコンテンツに誘われないユーザーでも、詐欺サイトに誘導されるケースが増えています。IPAでは、2007年2月中の相談件数のおよそ3割は、アダルト以外の掲示板やブログサイトなどから誘導されていたといいます。

 と、ここまでは、以前ニュースに書いた内容です(該当記事)。ここからが本題です。この「アダルト以外のサイトから誘導されるケース」に私の友人が遭遇したので、本稿では、その一部始終を報告しましょう。みなさんの参考になれば幸いです。

 ここでは、友人に聞いたURLを基に、架空の料金を請求されるまでの画面を紹介します。なお、二次被害を防ぐため、紹介する画像の多くにはボカシを入れています。見にくいでしょうがご理解ください。

なぜ、詐欺サイトへ導かれたのか

 ある日、友人はニュースサイトで芸能ニュースを見ていたそうです。ある記事に出ていた女性タレントのことを知りたくて、そのタレント名で検索をかけました。これは、よくある行動パターンだと思います。私もよくやります。

タレント名で検索した結果ページ

 そして、検索結果として表示されたリンクを、上からいくつかクリックしていきました。“罠(わな)”は1ページの5件目に仕掛けられていました。このリンクをクリックすると、そのタレントについて解説しているブログに誘導されました。

検索結果から誘導されたブログらしきWebサイト

 そのページには、画像へのリンクが並べられていたので、ほぼ反射的にクリックしていったそうです。1つ目、2つ目は、リンクに書かれているとおりに画像が表示されました。同じように画像が表示されると思った友人は、迷うことなく3つ目のリンクをクリックしました。すると、アダルトコンテンツ満載の詐欺サイトへ誘導されてしまいました。

ブログから誘導された詐欺サイト

 ここで止めておけばよいものを、好奇心に勝てなかった友人は、動画の再生ボタンをクリック。すると、詐欺サイトでは“お約束”の、パソコンから個人情報を収集しているように思わせる画面(実体は、単なるアニメーションGIF)が表示された後、料金請求のページなどが表示されました。

「個人情報収集プログラム」がインストールされているように見せかける画面

“お約束”の料金請求ページ

 「法的対応策を持って処理させていただきます」や「自宅や勤務先へ直接請求させて頂く可能性がございます」といった、これまたお決まりの脅し文句に不安を覚える友人。もちろん、払う必要はありません。「払う必要はない。絶対に払ってはいけないし、相手に連絡してもいけない」と友人に話して、この出来事に関するやり取りは終わりました。

 検索結果の上位に表示されると、信用できるサイトだと錯覚しがちです。友人も、「Googleの1ページに表示されたサイトに、危ないサイト(実際には、危ないサイトへの入り口)が含まれるとは思ってなかった」と言います。

 Googleに限らず、検索サイトは、検索キーワードとWebサイトの関連性を独自のアルゴリズムで点数付けをして、その点数が高い順に表示しています。「そのWebサイトが怪しいかどうか」をチェックしているわけではありません。このため、Webサイトの運営者が“うまくやれば”、サイトの内容が悪質であっても、検索エンジンの上位に表示させることができるのです。サイト運営者が“努力”しなくても、自然と上位に表示されることもあるでしょう。「上位に表示されたから安全」と考えるのは危険です。

 もっとも、今回紹介したケースでは、詐欺サイトにアクセスした時点でWebブラウザーを閉じていれば、無用の心配をする必要はなかったわけです。リンクを次々とたどっていくのがWebの醍醐味ではありますが、明らかに怪しいサイトに誘導されたら、先に進むのはやめましょう。罠はいたるところに仕掛けられています。