Macintosh専門の展示会「Macworld Conference & Expo」(通称Macworld)が2008年1月14日(米国時間)、米国カリフォルニア州のサンフランシスコで開幕する。主催は米IDGワールド・エキスポで、会期は18日まで。カリフォルニア州クパチーノに本社を置く米アップルのお膝元で開かれるMacworldでは、アップルが新製品の大型発表をするのが毎年の恒例。同社の情報統制は徹底しており、基調講演が始まるまでどのような製品が発表されるかは常にベールに包まれたまま。今年も2日目の15日にスティーブ・ジョブズCEOが基調講演を行う。昨年は、従来の他社製品とは一線を画した使い勝手を実現する携帯電話「iPhone」を発表したこともあり、例年になく基調講演の内容に注目が集まっている。

 会場となるモスコーンセンターでは現在、準備が急ピッチで進んでいる。会場の内部には、アップルがその年のテーマとも言うべきメッセージをしたためた巨大な横断幕が飾られるのが慣習となっており、今年は「2008. There's something in the air.」(直訳すると、2008年、何かが空にある)。基調講演開始まで隠される例年と違い、既にメッセージは会場で公開されている。

 過去を振り返ると、2007年のメッセージは「The first 30 years were just the beginning. Welcome to 2007.」(これまでの30年間は始まりに過ぎない。ようこそ2007年へ)で、目玉となった発表はiPhoneだった。創業30年にして、コンピューターメーカーから携帯電話も手がける家電メーカーへと脱皮することをアピールした。2006年のメッセージは、「What's an Intel chip doing in a Mac? A whole lot more than it's ever done in a PC.」(インテルチップはMacintoshの中でどんなことをしているのか? パソコンがこれまでしていたことより多くのことをしている)。米インテル製CPUを搭載したiMacの発表が目玉となり、2006年中に全ラインアップをインテル化することを宣言した。さらにさかのぼること2005年は「Life is Random」(人生はランダムだ)で、低価格な携帯音楽プレーヤー「iPod shuffle」を発表。ハードディスク搭載型の携帯音楽プレーヤーで圧倒的なシェアを築いた同社が、フラッシュメモリー搭載型でも確固たる地位を狙う戦略を明らかにした。

 2008年のMacworldのメッセージの肝は、恐らく「air」だろう。これまでのアップルの戦略を踏まえると、さまざまな推測が成り立つ。例えば、airを「空気のように軽い」と解釈すれば、超小型軽量のMacintoshが登場するかもしれない。米インテルが提唱するMID(Mobile Internet Device)同様に新プラットフォーム「Menlow」を採用しつつ、記録媒体としてSSD、ディスプレイはタッチパネル式を使うなどすれば、実現不可能な製品ではない。その場合、もしかしたらiPhoneとMacintoshの中間の新しいブランドの製品かもしれない。

 さもなくば、airを「これまでにない無線通信を活用する」と解釈することもできる。長らく噂されているiPhoneの3G対応版が登場するのは既定路線とされており、そうなれば日本などこれまでiPhoneが使えなかった地域でのサービス開始が同時に発表される可能性がある。NTTドコモなど既にiPhoneを取り扱う可能性を取りざたされている携帯電話会社から販売が開始されれば、日本のユーザーにとっては歓迎すべき話となる。3Gではなく、モバイルWiMAXサービスに対応したiPhoneのリリースも考えられなくもない話。将来が期待されるモバイルWiMAXだが、現状サービス開始に積極的なスプリントでさえ事業は計画通りに進んでいない。米スプリントが事業を好転させるために、アップルと協業する可能性は少なくない。

 ウルトラCがあるとすれば、テレビ放送との連携だ。「air」を放送波と解釈した場合がそれである。同社はこれまでかたくなにMacintoshにテレビチューナーを搭載することを否定してきたが、米国ではIPTVなど通信と放送の本格的な融合が始まっている。「Apple TV」は必ずしも成功しているとは言えないのが現状。そこでテレビチューナー付きのMacintoshやApple TVをリリースするという推測。付加機能として、任天堂のゲーム機「Wii」のような加速度センサー付きのリモコンで直感的な操作性を実現するなどすれば、非常に斬新なパソコンの使い方の提案となる。そうではなく、米クアルコムが推進するモバイル向けテレビ放送技術のMediaFLOを、iPhoneやiPodに搭載するというのもアリである。

 ここまで述べたのはあくまで記者個人の勝手な推測に過ぎないが、たいていは、どんな記者たちの推測をも跳ね返す斬新な製品が発表になり、例年良い意味で期待を裏切られる。「air」の意味する秘密は基調講演が終わった段階で明らかになる。ジョブズCEOの基調講演の内容は、即日お届けしたい。