2006年8月28日にスタートした市民メディア「オーマイニュース(日本版)」の運営元である、オーマイニュース・インターナショナルのオ・ヨンホ社長兼CEOは2006年9月9月、神奈川県横浜市で開催された「市民メディアサミット06」で講演を行った。既存メディアの問題点や韓国と日本の違いなどについて言及するとともに、年末までに5000人の市民記者を獲得し、日本と韓国の市民記者の交流を場を作る計画、そして早い時期に日本人の社長を擁立する考えがあることを明らかにした。

 講演ではまず、情報を一方向に伝達する既存メディアと双方向性があるオーマイニュースの性格の違いを説明。「権威が阻害してきた要因もあって、双方向性を持たせることができなかった既存メディアに限界が訪れている」と語った。紙の新聞が登場したことで、記事を書く記者と記事を読む読者という、情報を送る側と受け取る側の区分が明確になったこと、テレビやラジオでも同じことが起こったことを例に挙げ、「インターネットが登場したことでブロガーや市民記者と呼ばれる人たち、そして日本では2ちゃんねるという掲示板ができた」ことを取り上げ、情報を受け取る側も自らの意見を主張するという情報の双方向性がすでに浸透してきているという点を強調した。

 韓国と日本でのスタンスの違いについても語った。韓国では、既存メディアが非常に保守的だったため、バランスを取るためにオーマイニュースを開始する際には進歩的でリベラルな立場に立つということを明確にしたという。これに対して日本では、メディア事情の違いから「政治的にも理念的にも中立の立場をとる」(オ氏)。ただ、現在編集長を務める鳥越俊太郎氏と編集作業を行う9名の常勤記者に対して「顔ぶれを見て、やはり偏っているのではないかという指摘も受けた」ことも明らかにした。それでも中立の立場を取りながら「事実として正しく、論理的に正しく、メッセージ性がある記事であれば、どんな記事であれ掲載していく覚悟」と、オーマイニュース(日本版)を一つのメディアとして育てるべく、その決意を力強く語った。

 韓国では市民に歓迎され、急成長を遂げたオーマイニュースだが、日本では開始直後から記事に対する辛らつなコメントが集中したり、批判的な書き込みが後を絶たないのも事実。こうした問題に対し、「オーマイニュースはこうあるべきと思っている人にとって、現状は物足りないと思うかもしれない」と現実を冷静に受け止めている一方で、「予想よりも多くの人が登録し、予想よりも多くの記事が送られてきているという事実がある。多くの人たちが日本では実名で記事を書くことはありえないといわれてきたなかで、予想よりも多くの人たちが実名で記事を書いて送ってきている」と確かな手応えを感じていることを強調。実際、開始当初975名だった登録者数は、9月6日時点で1752名と10日足らずで倍増し「投稿される記事も1日に40~60本」あり、「記事のレベルは韓国と比べて日本は非常にレベルが高い」という。

 当面の目標として「年末までに5000人の市民記者を獲得する」ことを掲げ、「目標が達成した場合には日本と韓国の市民記者同士が交流できる場を作っていきたい」(オ氏)。同時に早い時期に日本人の社長を擁立する考えも明らかにした。