eラーニング・ソフト/サービス市場は,企業による従業員教育用途に加えて,2001年度からは自治体や文教市場での商談が急増。これらに強い営業チャネルを持つメーカー系が勢いづいている。

図1●eラーニング・ソフトの出荷本数
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図2●eラーニング・ソフトの出荷金額
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表1●国内で販売されている主なeラーニング・ソフト
教材コンテンツやSIサービスは除く
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表2●国内で販売されている主なeラーニングASPサービス
教材コンテンツやSIサービスは除く
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 eラーニング市場が堅調に拡大している。2000年度のeラーニング・ソフトの国内市場は,主要12製品の実績を合計すると出荷本数で832本(日経システムプロバイダ推定を含む。以下,日経システムプロバイダ推定には*印を付ける),金額で約16億3500万円だった。

 eラーニング・ソフトは,Webサイト上で教育を行うためのソフト。ネット上のデータベースに用意した教材コンテンツを好きなときにアクセスして学習する非同期型や,講師の講義をライブ中継する同期型がある。それらの両方を提供する製品も登場している。

 eラーニング・ソフトは,受講履歴や試験の成績など受講者管理の容易さが特徴だ。最近では,人事システムと連携してスキル評価や人材開発計画に利用したり,ネット上の打ち合わせやプレゼンテーションに利用したりする企業も増えている。

 2001年度は企業ユーザーによる導入に加え自治体や各種学校での導入が活発化し,本数で前年度比76%増の1465本,金額で同2.2倍の35億3700万円の成長が見込まれる。

 2001年度の特徴としては,ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスが立ち上がってきたことが挙げられる。ウィルソン・ラーニング ワールドワイド(WLW,東京都千代田区,森捷三社長)は「製品販売よりASPサービスの伸びが極めて高い」(飯塚浩木副社長)と言う。

 2001年度末時点でのASPサービスの運用見込みは,主要6サービスの合計で290件,9億5000万円。2000年度末時点での運用件数は74件,3億7500万円だったので,市場は急拡大している。

 ただし今回の調査では,ソフト,サービスともに出荷金額はeラーニングのプラットホーム部分の出荷/運用に限っている。eラーニングのソフト販売/ASPサービス・ビジネスは,教材コンテンツの開発・販売や人材開発コンサルティングなどの割合が大きく,これらを含めると数倍~十数倍の規模になると見られる。

富士通製品が市場をけん引

 eラーニング市場では富士通のInternet Navigwareが,出荷本数でも金額でも他製品を圧倒する状態が続いている。2000年度(3月期)の出荷本数は320本,出荷金額は5億3000万円。2001年度も上期だけで250本の出荷実績を誇る。機能ごとに製品を分割することで低価格を実現し,小規模導入に適した製品体系にしたことが市場に受け入れられた。

 富士通と共同で開発やプロモーションを行っている富士通インフォソフトテクノロジ(静岡市,町支俊貴社長)の堀田ひとみ第五開発統括部e-Learning部部長代理によると「2001年度は学校と自治体の伸びが急」という。もともとハード・メーカーとしてこれらの市場に強いチャネルを持つ富士通とその販社の営業力が,Internet Navigwareの出荷を加速している。

 2001年10月にはマイクロソフトとの提携を発表。共同でセミナーを開催したり,販売チャネルを相互に活用したりする。また業種ごとのeラーニング・ソリューション・パッケージを2002年早々にも投入する。こうした施策により2001年度は本数で前年度比2.3倍の750本,金額で同2.9倍の15億5000万円の出荷を見込む。

 富士通を追うのが,日立電子サービスのHIPLUS on Web。2000年度の出荷実績は100本,3億円。2001年度は140本,4億2000万円を見込む。同社は,日立製作所と日立グループのシステム・プロバイダを通じた間接販売と直販を展開。富士通同様,強い営業力を持つ自治体市場が伸びていることが追い風となっている。

 ASPの立ち上がりも早い。日立電子サービスはHIPLUS21と呼ぶASPサービスを2001年10月に開始。こちらの運用件数は2001年度末で50件,金額は5000万円。製品販売とASPサービスを合計すると2001年度の売り上げは5億円を超える。

 日本ユニシスはプラットホーム単独の販売をしていないため,例外的に出荷金額は教材込みとした。2000年度の出荷本数は130本,出荷金額は1億円。2001年度は200本,1億7000万円を見込む。日本ユニシスの馬場正存総合教育部長は「ユーザー企業の教育業務全体をアウトソースする。eラーニングはそのための道具」と語る。

低価格製品で巻き返し図るロータス

 NTTソフトウェア(横浜市,鶴保征城社長)が開発・販売するEduCAPRINGの2000年度の出荷実績は61本,3400万円。2001年度は45本,3500万円を出荷する見込み。渡辺浩一技術開発部eラーニングセンター所長は「教材コンテンツを持つ企業からの提携申し込みが多い。今後はeラーニング・サービス事業を共同で展開する形が増えそうだ」と期待する。

 国内eラーニング市場で先行していたロータスは,同期型と非同期型の両方を実現しながら4600円/1ユーザーという低価格を実現したラーニングスペースの新バージョンR5を2001年10月に出荷した。立川哲郎ソリューション事業本部E-Learning事業部長は「ラーニングスペースは当社の戦略製品と位置付けている。この4月にはe-Learning事業部を設置した。特定の販売パートナに対し集中的に教育や技術支援を施したい」と意気込む。2001年度の出荷見込みは80本*,1億8000万円*。

 エヌ・ティ・ティエックス(NTT-X,東京都千代田区,池田茂社長)は,自社開発製品のXcalatに加え,管理機能が豊富なGlobal LMS(開発は米スマートフォース・コーポレーション)を11月に出荷する。「高付加価値型のGlobal LMSに自社の営業を注力する。Xcalatは手離れよく間接販売する方針」(大屋丘イーキューブカンパニーセールス&マーケティング部門担当課長)。Xcalatの2000年度の出荷実績は40本,1億6000万円。2001年度の出荷見込みは50本,2億円。一方Global LMSは2001年に5件,5000万円の出荷を見込む。NTT-XはASPサービスも展開中で,2000年度末の運用は16件,1億5000万円。2001年度末は30件,3億5000万円を見込んでいる。

 NECが開発・販売するCultiiva(カルティーバ)は2000年度の出荷実績が40本,9000万円*。2001年度の出荷見込みは50本*,1億1000万円*。ASPサービスのE-Learning on BIGLOBEは2000年度末で30件,8000万円*の運用実績。2001年度末には60件*,1億6000万円*に増える見込み。ASPに関しては,今後期間と人数を限定したお手軽パックを投入する計画だ。

(尾崎 憲和)