沖縄県宜野湾市は市のすべてのシステムを再構築する。地場産業振興の要素をベンダー選定の条件に盛り込んだ結果、10数社の地元ベンダーと大手ベンダー1社によるコンソーシアムが、保守・運用を含めて7年の間アウトソーシングで受託することが3月に決まった。予算規模は32億円に達する。

図●宜野湾市が再構築するシステムの対象範囲
 宜野湾市が再構築するシステムの範囲は、住民台帳や税を管理する基幹業務系から、財務会計・文書管理といった内部情報システムまで多岐にわたる。このほかに、情報系の業務統合データベースや、市職員向けの認証基盤などを新たに開発する([拡大表示])。2007年4月に全面稼働する。

 今回のプロジェクトの発注に当たって宜野湾市は、地場産業の振興にこだわった。システム再構築のコンペの条件として、プロジェクトの中心になる地元ベンダーとこれを支援する1社の大手ベンダー、開発・運用業務にかかわる複数の地元ベンダーがコンソーシアムを作って参加することを強く促した。こうした形でのコンペは全国でもほとんど例がない。

 ほとんどの地方自治体では、自治体の意向を反映したシステムを提案したかではなく、安い金額を提示したかどうかで発注先を決めている。この問題を避けるために、宜野湾市はシステムの品質評価と受注価格をともに点数で評価する形にしたうえ、品質評価の比重を価格よりも高める配分とした。

 宜野湾市総務部IT推進室によれば、「今回の再構築プロジェクトは、開発・保守を含めた7年間のアウトソーシング契約で実施する。地方自治体の予算は単年度主義が基本だが、システム全体のトータル・コストを評価するために、債務負担行為として議会の承認を受けた。これで7年分の業務委託について、ベンダーを一括で選定することができた。安い開発費で受注し、保守・運用コストで元を取るのは契約の形から見ても不可能だ」と話す。

 最終的にコンペに参加したコンソーシアムは5組。システムに対する技術と受注価格を加点方式で評価した結果、地元の大手システム・インテグレータであるオーシーシーとNECを中心とする10数社のコンソーシアムが、システムの再構築と保守・運用を手がけることになった。「予算は32億円だが、実際のコストはこれより安いものになった」(IT推進室)という。

 しかし地元ベンダーがお飾りになってしまうようでは意味がない。宜野湾市は大手ベンダーではなく、地元ベンダーが中心となって進めているかどうかを、第三者を含めた評価委員会を設置して把握する予定だ。さらにIT推進室のメンバーとして、民間企業でプロジェクトマネジャーを経験した人物を採用。プロジェクトの実態に、内部からも目を光らせる。

 システムが運用段階に入る2年後までにはSLA(サービスレベルアグリーメント)を結んで、地元ベンダーが担当する業務を細かく規定するなどの措置を講じる。

 既存システムの保守・運用コストは職員の人件費を含めて年間で6億7000万円に達する。今回のシステム再構築によって宜野湾市は、年間の保守・運用コストを1億円削減し、その分を新システムの開発費に振り替える方針だ。

(中村 建助)

本記事は日経コンピュータ2005年4月4日号に掲載したものです。
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出典:2005年4月4日号 15ページ
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