政府が大規模システム調達体制にメスを入れる。開発、保守・運用に年7000億円を費やしているレガシー・システムの全面見直しを表明。とりわけNTTデータの契約形態を問題視している。すでに特許庁がシステム監査を始めた。ベンダーへの依存度を弱めようとしているが道のりは険しい。

表●平成14年度の官庁別大規模システム予算とシステムの数
 政府は3月31日、官庁のCIO(最高情報責任者)が集まる「CIO連絡会議」を開き、電子政府構築計画の策定指針を取りまとめた。そのなかに明記された「旧式(レガシー)システムの抜本的な見直しに着手する」方針が波紋を呼んでいる。

 この方針は、自民党e-Japan重点計画特命委員会が3月25日付で政府に対して提出した「電子政府及びCIO連絡会議に関する申入れ」を受けたものだ。特命委員会は各官庁の大規模レガシー・システムをリストアップ([拡大表示] )。コスト削減の観点からシステム監査を実行することと、システムを新しく構築したほうが安上がりな場合は刷新に踏み切ることを要望した。ここでいうレガシー・システムとは「メインフレームやオフコンを利用しているか、1994年以降随意契約が継続しているもの」である。

NTTデータとの契約を批判

 名指しで批判されたのが、政府とNTTデータとの契約形態だ。特命委員会は申し入れに「供給業者を制限する恐れのあるデータ通信役務契約サービスは極力排除すること」という一文を盛り込んだ。

写真1●特許庁の電子出願・包袋事務処理システム

 データ通信役務契約サービスとはNTTデータ特有の事業モデル「データ通信サービス」を指したものである。ソフトやハード、ネットワーク、建物といった各種資産をNTTデータが肩代わりして所有。NTTデータはシステム稼働後に複数年にわたって顧客にシステム利用料を請求する。システム構築費用を平準化できるので、毎年の予算がほぼ固定している官庁には受け入れられやすい。

 ただし構築したシステムはNTTデータが保有しているので、いったん契約を締結すると機能追加案件はすべてNTTデータに依頼せざるを得ない。競争入札によってNTTデータ以外のベンダーと契約するという選択肢はほとんどなくなる。つまりベンダーに囲い込まれることになる。

 こうした契約の見直しを開始している官庁もすでにある。特許庁はメインフレームを含む電子出願・包袋(ほうたい)事務処理システム(写真1[拡大表示])を、NTTデータのデータ通信サービスを利用して構築した。同庁はこのシステムに対し、年150億円をNTTデータに支払っている。この額が適正かどうか、業務フローを改善したりオープン化すればもっと低コストにできないか、といったシステム監査をIBMビジネスコンサルティングサービスに依頼している。「納税者にシステムが適正であるかどうかを説明できるようにしたい」と特許庁総務部総務課の若井英二総括班長は語る。

(広岡 延隆)

次回(下)へ続く

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