八十二銀行,琉球銀行,親和銀行,山形銀行,阿波銀行,宮崎銀行,関東銀行の地方銀行7行は,情報システムの共同化を進めるにあたって,各行の扱う金融商品や事務処理の手順といったビジネスの仕組みまで極力,統一していく方針を固めた。7行もの銀行がここまで踏み込んで共同化を進めるのは初めて。

写真●4月18日の共同化調印式に臨んだ地方銀行7行の頭取
全国を縦断する仲間という意味で,7行会を「じゅうだん会」と命名した
 「今回,我々が狙うのは単なる情報システムの共同化ではない。7行が扱う金融商品やサービス,行内の事務処理の手順まで含めて統一することを目指す。ここまでやらないとシステム共同化の利点を真に引き出せない」。共同化プロジェクトの取りまとめ行である八十二銀行の普世芳孝システム部長はこう語る。

 ビジネスの仕組みと情報システムの統一を並行して進めるために,7行は情報システム部門に加え,総合企画部門,各種の業務部門を交えて,共同化を推進していく。事務処理の変更には相当なエネルギーが必要なので,「各行の企画や業務部門と当行の連携を密にして取り組む」(普世部長)。

 すでに,1999年11月に検討を始めた時から,7行のシステム部門と総合企画部門が参加して議論を重ねてきた。この結果,「銀行の競争力は,事務処理やシステムの独自性というよりも,その上でどう仕事をするかにある」(普世部長)との合意を形成できた。こうして7行の頭取は4月18日に,共同化の合意文書に調印した。

表●八十二銀行をはじめとする7行が共同化を目指すシステムの範囲
 共同化にあたっては,八十二銀行の既存システムを基に,共同化のための新システムを開発,これらを6行がそのまま共同利用するやり方をとる。共同化の対象は,基幹系・情報系システムから対顧客系システムまで含む()。システムの稼働環境はIBM製メインフレーム,UNIXマシン,各種専用機器。これだけ広範囲なシステムの共同化は例がない。

 過去のシステム共同化は,銀行間で共通する業務だけを対象にしているものがほとんどで,各行が独自の商品や事務処理手順を残すことが当然とされた。だが,結果として,システムのカスタマイズ量が増え,共同化の利点がなくなってしまうことが多かった。

 新システムには,7行で必要となる新たな業務要件と,共通化のために必要な機能を盛り込む。例えば,店舗番号など銀行間で共通化できない項目を定数テーブルに格納し,システムのロジックから外す仕組みを作る。各行はテーブルの定数を設定することで,カードローンや定期預金などの内容を独自に決められる。八十二銀行の既存システムを修整するので,新システムの開発規模は700~800人月ですむ。

 八十二銀行は2002年3月末までに開発を終え,2002年4月に新システムへ移行する。2003年1月には,新システムを八十二銀行のセンターから,日本IBMが管理するセンターに移転する。

 他の6行はまず,既存システムの運用を日本IBMへアウトソーシングする。続いて6行は,八十二銀行から共同化システムの使用許諾を得た上で移行の準備を進め,新システムに移行していく。移行時期は,琉球銀行と阿波銀行が2004年1月,親和銀行,山形銀行,宮崎銀行が2005年1月を予定している。関東銀行の移行時期は未定。移行後のシステム保守は,7行が共同で要件を取り決め,八十二銀行が実装していく。

(大和田 尚孝)
出典:2001年5月7日号 16 ニュースレポート
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。