ソリューションプロバイダがERPなど三文字ビジネスの後に期待したレガシーマイグレーションが、思ったほどの成果を上げていない。目先のコスト削減ばかりを強調するのではなく、ユーザーの立場に立った提案が必要だ。



 2004年11月。電子情報技術産業協会(JEITA)が04年度上半期(4~9月)の「サーバー出荷実績」を発表した。その数値を見た日立製作所のサーバー関係者は「間違っているのではないか」と一瞬目を疑ったと話す。メインフレームの出荷台数が、03年上半期に対してサーバーの中で最高の伸びを示していたからだ。

 調査結果によると、04年上半期中にUNIXサーバーは出荷台数で7%増え、IAサーバーは同10%増加した。これに対し、メインフレームは33%増とぶっちぎりの伸び率。メインフレームをオープンシステムといわれるUNIXサーバーやIAサーバーにダウンサイジングする「レガシーマイグレーションの嵐はいったいどこへ行ってしまったのだろう」(日立サーバー関係者)。

 ディジタル産業研究所の古谷隆一主幹は、このメインフレームの反乱について次のように分析する。「レガシー移行を事業の大きな柱にしているのはベンダーフリーのSIerだ。しかし、このビジネスは、彼らが喧伝するほどにコストが安くないし、時間もかかる。リプレースされるメーカーやユーザー内部のメインフレーム技術者の抵抗も強い。そして肝心の事例が一向に増えてこない。SIerが言うほどに安直に事は運ばないし、変える利点が見えないことにユーザーが気がついたのではないか」。

 メインフレームの中でも大型機(2億5000万円以上)は上半期に86%も出荷台数が増えた。「ミッションクリティカルと言われる基幹業務に、信頼性や可用性、運用の面などで、オープンシステムがメインフレームにまだまだ及ばない1 つの証だ」と古谷主幹は見ている。

喧伝ほどには増えない移行事例

 「上半期のメインフレームの出荷増は一過性」と話すガートナージャパンの亦賀忠明バイスプレジデントは、メインフレームは今後年率13%で出荷金額を減らし、09年には03年(1430億円)の半分程度に減るという予測は変わらないとした。

 しかし、「SIerがレガシーマイグレーションを、単に時代の流れ“流行だから”と強調するようなビジネスに終始するようだったら、破綻をきたすのは目に見えている」と手厳しい。尻馬に乗るようなビジネスなら、顧客の信頼を得られないのは当然であろう。

 メインフレームを持たないHP(ヒューレット・パッカード)、サン・マイクロシステムズ、デルなどのサーバーメーカーや、既に40社を超すソリューションプロバイダが、富士通やIBM、日立、NEC、ユニシス各社のメインフレームをオープンシステムに置き換えるのが「レガシーマイグレーション」である。今では、メインフレームメーカー間にもこの他社プラットフォーム“強奪ビジネス”が燎原の火のように広がっている。

 「ERP(統合基幹業務システム)やCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、SCM(サプライチェーン・マネジメント)といった3文字略語ビジネスが終焉し、売るものがなくなってしまったSI業界の、頼みの綱がレガシーマイグレーションだ」と、CSKの有賀貞一副会長が期待するように、レガシー移行ビジネスはITバブル崩壊の翌年から脚光を浴びてきた。

(北川賢一=主任編集委員)

出典:2005年2月15日号 46ページ
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